支配・侵略の6000年の歴史の変遷~イタリア・シシリー島(7)
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後光が差し、朝焼けに震え立つ
朝5時、雨の音は消えた。外はまだ真っ暗闇である。「ようやく雲が晴れて陽がみられる状態になったな」と確信した。その後、うとうとしていたら6時50分になっていた。外は多少、明るくなりつつあった。「日の出は後僅かだな」と判断しつつ部屋の窓を開けてみると東側の水平線が明るくなっている。朝焼けがくっきりし始めた。感動の光景が鮮明になってきている。「あと僅かな辛抱だ」と自分に言い聞かせた。
7時10分、水平線に太陽が昇り始めた。「わー、よしきた!!ブラボー」という訳の分からない言葉が、あちこちで上がっている。ベランダに立って隣近所を見渡すと5組の夫婦が全員、日の出に集中しているのだ。
写真を見ていただきたい。前夜の海上の暴風雨がぴたっと止まり、凪状態になっているのだ。地中海特有のコバルト色の海が鮮明で、視界も遠くに広がり、イタリア半島が展望できるのだ。
興奮して体が震えだした。「タオルミーナにきた甲斐があった?」と愚妻に囁くと「あなたが引っ張ってくれた意味がよくわかった。ありがとう」とほほえんでくれた。添乗員・大原氏は隣の部屋にいて、ベランダ越しに「いやー、こういうすばらしい朝焼けを人生で初めて見た。感動した。やはりシシリー・地中海という地形が私の気分を上昇させてくれているようだ。不思議な気持ちだ」と感想を述べた。プールサイドに降りていた増田女史から呼びかけの声が届いた。震える声で「シシリーツアーに参加して良かった」と歓喜した様子で感謝の念を伝えてくれた。こちらも涙が溢れるほど嬉しい。次は上の階から名島夫人の声が飛んできた。「右側を見てよ!!エトナ山が見えるわ!!」と教えてくれた。
右側の方向を眺めると眼前にエトナ山が聳え立っている。威厳があり、圧倒される。「こんな間近に立ち塞がっているとは」と驚いた。参加者の喜びの声を聞き、自然の絶景を目の当たりにして、昨日雨にたたられた疲れは一瞬して消え去った。富士山に匹敵する霊感パワーを放射するエトナ山
間近に展望するエトナ山の威容さには、ただただ、たじろぐばかりだ。海面から一挙に3,329mの高さの山が出現するのだ。誰もが圧倒されるのは至極当然のことだろう。1,000mの高さのところまでは住宅が密集しており、麓は生活の拠点にもなっているのだ。そこから600m上あたりから降雪状態で雪を被っているゾーンになる。白のコントラストが鮮やかで、神々しい光景を見られたことに感謝する。
エトナ山は旧名をモンジベッロと呼ばれていた。この山は富士山よりは500m低いが、威風堂々の雄大さ・霊感を与えるパワーなどは、富士山とまったくそん色ない。こちらは現役の活火山だから常時噴火している。そのプレシャーたるや、こちらも委縮してしまう。
何せ!!イタリア最大の火山だからだ。17万年前からこの位置で噴火してきたらしい。1669年の噴火ではカターニア市民の半分が死者になるほどの壊滅的打撃を与えているようだ。しかし、麓では住民たちが永い間、ブドウ園などの農業を営んでいる。イタリアで有名な火山はナポリ近郊にあるヴェスヴィオ火山である。これだけでは何かわからない。しかし、ポンペイの名前をあげれば誰でもわかるだろう。79年8月の大爆発でポンペイを消滅させてしまった。この時はポンペイだけでなく、エルコラーノなどの都市も壊滅させている。2000年の時間を経て、ポンペイはイタリア一の観光資源になっているとは皮肉なものだ。
この山は海抜1,281mの高さしかない。度重なる大噴火で次第に低くなってきたのだろう。それと比較するとエトナ山の存在感は段違いである。拙い文章はここまでで終わり。写真をみながら読者にはこの絶景を勝手に想像していただきたい。
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