2024年11月28日( 木 )

ビッグモーターと刑事司法の腐敗

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 NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「当局がビッグモーター問題を刑事事件として扱わないなら、それは日本の警察・検察・裁判所制度の不健全性の証左となるだろう」と訴えた7月26日付の記事を紹介する。

刑法第二百四十六条

(詐欺)
 第二百四十六条 人を欺いて財物を交付させた者は、十年以下の懲役に処する。
 2 前項の方法により、財産上不法の利益を得、又は他人にこれを得させた者も、同項と同様とする。

 報道では「不正請求」との表現が用いられているが、「人を欺いて保険料支払いを交付させた」なら詐欺罪が成立する。刑法犯罪である。

 また、顧客から修理で預かった自動車に意図して傷を与えたなら「器物損壊罪」に該当する。

(器物損壊等)
 第二百六十一条 前三条【第二百五十八条、第二百五十九条、第二百六十条】に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、3年以下の懲役又は30万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 ビッグモーター社の事案が報道されているが、当局は刑事事件としての捜査を行うべきだ。

 森友学園理事長だった籠池泰典氏と妻は森友学園の小学校建設計画に関連して国、大阪府、大阪市などから補助金を騙し取ったとして詐欺罪で実刑判決を受けた。籠池夫妻は現在服役している。この事案に関連して財務省は虚偽公文書を多数作成した。

 虚偽公文書作成について刑法は

(虚偽公文書作成等)
 第百五十六条 公務員が、その職務に関し、行使の目的で、虚偽の文書若しくは図画を作成し、又は文書若しくは図画を変造したときは、印章又は署名の有無により区別して、前二条の例による。

 第百五十五条の定めは次のもの。

(公文書偽造等)
 第百五十五条 行使の目的で、公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造し、又は偽造した公務所若しくは公務員の印章若しくは署名を使用して公務所若しくは公務員の作成すべき文書若しくは図画を偽造した者は、一年以上十年以下の懲役に処する。

 一年以上十年以下の懲役に処するとの重い刑罰が規定されている。財務省は時価10億円相当の国有財産をタダ同然で森友学園に払い下げた。このことは国に損害を与える行為。刑法は次の条文を置いている。

(背任)
 第二百四十七条 他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り又は本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加えたときは、五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 森友学園に対する国有地不正払い下げにおける財務省の行為は背任に該当するもの。

※続きは7月26日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「ビッグモーターと刑事司法の腐敗」で。


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植草一秀の『知られざる真実』

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