2024年11月21日( 木 )

自然と人との間で循環を生み出し、社会に変化を与える仕事を

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クレアプランニング(株)

空間そのものをプロデュース
「仕事は取りに行くもの」

クレアプランニング(株) 中田泰平社長
クレアプランニング(株)
中田 泰平 社長

    創業から今年で50周年を迎えるクレアプランニング(株)。これまで商業施設や公共施設など、さまざまな空間をつくり上げてきた。単なる「オシャレな空間」ではなく、実際に使用するユーザーの姿を見据え、画期的かつ合理的な動線を携えた空間をプロデュースする。その始まりは内装工事で、先代が事業を発展させたのは建設需要の多い時代であり、合見積もりでの受注が一般的で、専門的な技術力とネットワークがあれば仕事を獲得することができていた。

 しかし、2008年9月のリーマン・ショック以降、建設不況が到来。中田泰平社長は「仕事は受けるものではなく取りに行くものになる」という時代の変化を感じ取り、同社は内装だけではなく、その空間そのものをプロデュースする業容へと変化させた。

木の魅力に気付き、どう生活に取り入れるか
考えさせる「循環」を生み出す

 創業者の出身地であり、同社のルーツともいえる大川市は木工の街として有数の知名度を誇る。現在も「大川テクニカルセンター」として同社の技術拠点が設けられており、思い入れの深いこの場所のなかに22年9月、同社は商業施設「ARBOR(アーバー)」をオープンさせた。

 まさに同社の技術の象徴の場であり、在籍する職人たちが日々自身の技術と向き合い、自己研鑽を重ねている。ただ1人で黙々と行っていても、いつかそれは限界を迎えることになる。来訪したお客が職人の仕事の様子を見て、リアクションをし、それを見て職人側のモチベーションが上がり、さらなる研鑽に取り組むことができる。これまで自身と向き合うほかなかった職人たちにユーザーの反応を直接受け取れる機会を提供する。

 ARBORの存在は大川のまち自体にも影響を与える。1つのまちを発展させていくためにはファンづくりが重要。そのファンをつくるためには町に直接来てもらわなければならない。「家具のまち」として有名な大川だが、そもそもは「木工のまち」。木工製品が人々の生活を豊かにするためにはどのようなかたち・方法で提供される必要があるのか。考えたのが「公園」だった。何かを買いにきた人も、そうではない人も、誰でも入れる公共の場。外には焚火スペースがあり、商業施設内には木工製品の工場やアウトドア製品を販売するテナントスペースがある。「材料」ではなく「感性を豊かにする創造物」として、訪れる人すべてが木と向き合うことができる空間がARBORなのだ。

 商品ラインナップの拡充も視野に入っており、ポップアップショップやイベントの準備を行っている。

「ARBOR」
「ARBOR」

企業として大事にしたい「言語化」の能力

 同じ事象を表現しようとしても、どのような言葉を選ぶかは個人によって大きく異なる。言葉の選び方や発信の仕方が1つ変わるだけで、受け取り手の感じる印象は良くも悪くも変わる。建物のパースを見せるだけではなく、その魅力を表す言葉を添えられた方が受け取り手に残る印象は大きく変わる。中田社長がこれに気付くことができたのは商業施設を手がけていたからであった。マンションなどの住居とは比にならないスピードで商業は変化する。自ずと求められるものも変化する。この変化に食らいつき、その蓄積から時には先読む。この空間は誰が、何をするために役に立つのか。すべてのプロジェクトにおいてこれを考えていくなかで、言語化の能力が自然と身に付いていった。

 「油山牧場・市民の森のリニューアル事業に佐藤可士和さんに参画いただいたのは、日本トップのデザイナーであり、ブランディングにおいて右に出る者がいないからです」。

 JR九州を代表とする企業グループ9社が福岡市のPFI事業である油山牧場・市民の森のリニューアル事業を手がけており、同社も参加している。同社は施工企業として名を連ねるが、今回、ディレクションの部分にも携わった。そして、ブランディングを担当するにふさわしい人物として同社が選出したのが世界的に活躍するデザイナー・佐藤氏だった。佐藤氏が考案するブランディングを実現するために必要なサービスやコンテンツを考えるキャスティングや予算調整などを手がけ、今年4月27日、複合体験型アウトドア施設「ABURAYAMA FUKUOKA」としてオープンさせた。

 同社および中田社長が事業を受注するときのポイントは「社会に面白さを与えられるか」にあることは覚えておきたい。新しい価値観やブランドを付与することによって、そのものだけでなく社会全体に良い変化をもたらすことこそ同社が存在する意義につながる。この価値観のもと、企業活動を行っている。

 今回のリニューアル事業への参画を決めたのも同様の理由だった。福岡市は、面積の約3分の1を占める森林資源を生かしきれない状態が続いていたところ、「福岡グリーンネクスト」と題し、森林資源の活用計画を始動させた。

 コンセプトが少しずつ深掘りされていくなかで、街と山と海が三位一体となり、アメリカで「住みたいまち№1」とされるポートランドのような姿への変化を予感した中田社長。都市部にはない魅力を備えることで有数の魅力を構築させることができると考えた。

ブランディングから手がけ、
真に求められる空間をつくる

 単純に「施工」を行うときには受注金額の高低で比較をされてしまうが、受注元のビジネスモデルやブランディングを共有し、施工側から提案を行うことができると、施工のみを手がける会社とは比較できない付加価値を生み出せる。どのような社会・世界をつくるのかを見据え、その実現のためにどのような空間やサービスが必要なのかを考え、創造していく。これまでにはないサービスや構成を施主と共有し、組み立てる。コモンズ(運命共同体)として寄り添い、同じ方向を見据えることを重視している。

 成長と進化は似て非なるもの。前者は「今もっているものを継続して伸ばしていくこと」、後者は「今自分たちがもっている能力を結集し、時代に対応していくこと」と、中田社長は話す。いつだって新しいものは既存のもののなかから生まれる。

 10年後、どのような潮流があって、何が求められるのかはわからない。ただ、そのようななかでも創造性を育みながら、感情豊かな会社をつくっていく。時代の変化に合わせ、生み出すものを模索し続け、最先端を走る。


<COMPANY INFORMATION> 
代 表:中田 泰平
所在地:福岡市中央区天神4-7-11
設 立:1981年12月
資本金:5,000万円
TEL:092-724-1115
URL:https://www.crea-p.co.jp

<RECRUIT> 
募集職種  :①施工管理職(新卒)
       ②企画営業(キャリア採用)
応募資格  :①2024年卒業見込
       ②宅建士有資格者(必須)
採用実績  :2022年度/2名
採用予定  :①1~2名、②1名
問い合わせ先:092-724-1115
       soumu@crea-p.co.jp
採用担当  :総務部 下坂


<プロフィール> 
中田 泰平
(なかた・たいへい)
1975年生まれ。岡山理科大学を卒業後、楽器店勤務を経てクレアプランニング(株)に入社。2011年6月に同社代表取締役社長に就任。2代目社長として同社を牽引するほか、地元・博多を盛り上げる活動など社外でも精力的に活躍している。趣味は音楽、アウトドア、各種スポーツ。

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