茂木幹事長が大家議員に参議院残留を求めた理由
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今秋にも衆議院解散・総選挙が行われる可能性があるといわれるなか、与野党は全国で候補者を擁立すべく公募などを行っている。支部長の席が空席となっている福岡9区はそのなかでも注目を集めている選挙区の1つであるが、26日急転直下の動きがあった。
党規約で鞍替えは原則禁止
茂木敏充自民党幹事長は26日、党本部で大家敏志参議院議員と面会し、次の衆議院選挙での福岡9区の候補予定者となる支部長の選考をめぐって、参議院に残留することを求めた。それに対し大家議員は、党員投票で三原朝利北九州市議会議員を得票率で大きく引き離したことなどを説明し、支部長に選任することを求めたという。
「福岡9区をめぐる複雑怪奇な福岡自民党の動き」で、「最終的な判断は党本部が下すが、県連の判断を覆す可能性もある」と書いたが、幹事長が大家議員の慰留に乗り出したことで、大家議員は選考から外れる可能性が高まった。
自民党は現在、参議院で単独過半数に達していない。公明党を入れて過半数を押さえている状況にある。また、自民党の党規約は衆参両院の鞍替えを原則禁止している。さらに大家議員は、参議院議員の任期が5年以上残っている。
麻生氏の意向を受けた茂木幹事長
茂木幹事長の慰留はこれらを念頭に置いたものとみられるが、一番の問題は、岸田文雄首相を支える1人であり、福岡県連の重鎮でもある麻生太郎副総裁の意向である。麻生副総裁は大家議員の参議院への鞍替えに依然として賛成していないという。
現在の自民党および政権は、岸田首相、麻生副総裁と茂木幹事長の3人によって運営方針が決められているとみる向きもあり、事実、麻生副総裁と茂木幹事長は頻繁に会食・会合を行っている。
茂木幹事長が大家議員を慰留した26日昼、東京・赤坂にあるANAインターコンチネンタルホテル東京の中国料理店で、岸田首相、麻生副総裁、茂木幹事長、松野博一官房長官が会食している。この会食自体は、このところの世論調査で内閣支持率が下落するなか、今後の政権運営をどのように進めるか話し合ったとみられるが、首相の会食相手が誰であり、その頻度はどうなのかは、政治の世界では重要な視点である。
岸田首相は来年9月の総裁選での再選を目指しているが、ポスト岸田の1人とみられ茂木幹事長の動きに警戒心を強めているという。次の内閣改造・党役員人事で幹事長に残すか、外すかの選択に迫られることになる。
福岡9区の支部長選任は、自民党本部が福岡県連の意向や諸情勢を踏まえ、最終的な判断することになる。安倍晋三元首相が亡き今、岸田首相がもっとも頼りとするのは麻生副総裁であり、茂木幹事長としては麻生副総裁の意向を無視するわけにもいかない。この夏は関係者にとって、違った意味で熱気を帯びた夏になりそうだ。
【近藤 将勝】
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