木原事件重大会見の拡散不可欠
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NetIB-Newsでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、ビッグモーター社の記者会見をめぐり、記者側の質問が的確になされなかったことを指摘した7月28日付の記事を紹介する。
記者会見を開いても質問者が的確な質問を振り向けなければ意味を失う。ビッグモーター社が記者会見を開き前社長ならびに新社長が出席した。顧客から預かった修理のための自動車を損壊し、保険会社に過大な保険金支払いを行わせていた行為が明るみに出て、企業の責任を明らかにするために会見が開かれた。
ビッグモーター社の創業者であり社長を務めていた兼重宏行氏は不正行為を知らなかったと述べた。企業の代表権を持つ役員が不正行為を認識していた、あるいは指示していたのか、経営幹部がまったく知らず、関与しないかたちで不正が行われたのかによって責任追及の対象は変化し得る。
兼重社長は組織ぐるみということはないと発言したが信ぴょう性は低い。ネットメディアなどによって伝えられている多くの関係者の証言によると不正事案のカギを握っているのは兼重宏行氏の子息である兼重宏一氏であるとのこと。
兼重宏一氏はビッグモーター社の取締役副社長を務めてきた。5年ほど前に会社の指揮命令発出の中心が兼重宏行社長から兼重宏一副社長に移行したと伝えられている。ビッグモーターの不正事案が目立つのは5年前以降のこと。経営の実権が宏行氏から宏一氏に移行したのと不正行為が多く観測され始めたことが軌を一にしていると見られている。兼重宏行前社長が不正行為の詳細を把握していなかった可能性はある。
しかし、一連の不正行為等を指揮命令したトップが宏行社長ではなく宏一副社長であった疑いが強い。従って、記者会見で「組織ぐるみでない」と明言した宏行氏に対して、「組織ぐるみでないという説明は、宏一副社長の関与有無を含めても明言できることか」と問う必要があった。
仮に宏行社長が不正行為の詳細を把握しておらず、会見でその事実を述べたとするなら宏行前社長の直接的関与の疑いは消失する。しかし、このことが、不正事案に対するビッグモーター経営幹部=役員の関与がなかった証明にはならない。
元従業員等の事実を知る関係者の多くが、一連の不正行為に直接関与していると見られるのは宏一副社長であると証言している。従って、記者会見を開く場合に、絶対に出席する必要があったのが宏一副社長ということになる。
会見で質問する記者は、ビッグモーター関係者への事前取材を基に、多くの関係者が宏一副社長の関与を指摘しているため、宏一副社長の会見出席が必要不可欠であることを明確に表明する必要があった。そのうえで、ビッグモーター経営陣から宏一前副社長出席の会見を改めて開く確約を取る必要があった。
宏行前社長が不正事案の詳細を完全に把握していない可能性は存在する。しかし、現場が独断でリスクが極めて大きい不正事案を実行する可能性は高いと思われない。多数の部署で同時並行して不正が実行されたことは組織的な指揮命令が存在したことを推認させるもの。
ビッグモーター社の板金・塗装部門トップが指揮命令を行った可能性はあるが、このことを踏まえれば、板金・塗装部門の責任者が会見に出席しなければ十分な説明ができないことも明らかだ。
※続きは7月28日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「木原事件重大会見の拡散不可欠」で。
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