福岡の成長とともに73年 新体制で高まる地元貢献度
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NIKKENホールディングス(株)
新本社と新体制で心機一転
1950年の設立以来、福岡市を中心に公共施設、マンション、オフィスビル、福祉施設、商業ビルなどを手がけてきた日建建設(株)。2022年10月にNIKKENホールディングス(株)(以下、ニッケンHD)として、持株会社体制に移行した。ホールディングス化の目的は主に2つ。1つ目は資本と経営を分離し、本業の業績を把握しやすくする。2つ目は総資産の圧縮と自己資本比率の向上。今後のM&Aや事業継承も見据えた決断であり、将来何があっても、会社の存続と社員の雇用を守るための策でもある。経営事項審査の点数を上げることができるため、公共工事の受注に有利となるだけではなく、企業の信用や評価を高めることにつながる。グループ内の分担に関して、ニッケンHDはグループ戦略の立案と所有不動産の賃貸事業、日建建設は総合建設業、宅地建物取引業、建築設計・監理業務、(株)三京は建築工事業(主に戸建等の木造建築物)をそれぞれ担っている。
同社は15年から新本社の建替えを計画し、21年に中央区六本松に完成させた。金子幸生代表取締役は新本社建設の経緯について、「立ち退き問題が難航したり、擁壁工事、本体工事ともに難工事であったりと、スムーズには進みませんでした。計画時点ですでに建設費用も当初の計算より1割以上高くなっていたということもあります。しかし、現在はさらに資材などの価格が高騰しており、結果的にはベストタイミングであったと思います。先祖より代々受け継いできたこの(六本松)の地に戻って来ることができて良かったです」と語る。
オフィススペースは従来よりも拡大し、会議室、休憩室や社宅も完備された。広々とした駐車場や、地下鉄まで徒歩10分という利便性の良さは、銀行関係者や取引先の間でも好評だ。採用面でも嬉しい変化があった。新社屋移転後、新卒・中途ともに採用が増加したのだ。オフィス環境が充実したことは、会社の将来性とイメージの向上に確実につながったといえるだろう。また、本社ビルの3~11階部分は賃貸マンション(48室)としているが常に満室で、1階のテナント(2店舗)も埋まっており、賃貸事業は順調なスタートを切っている。
協力し合い、任せることで人を育てる
現在の経営課題について、当面は事業規模の拡大を図ることよりも内部を充実させることに力を傾けるとしている。金子社長は、社員が今まで以上に安心して働ける環境を整えることで定着率を上げたいとしている。そして、各自がより意欲的に学んで成長してほしいと願う。建設業界はリーマン・ショック以降、慢性的に人材不足であり、若手の育成はすべての関係者が向き合うべき重要課題だ。
金子社長は(一社)福岡市建設業協会会長、(一社)九州住宅産業協会副理事長を務めるなど、自社の成長や九州エリアの発展だけではなく、業界全体の未来を考える立場にもある。金子社長は社業だけでは外部との接触が減少し、物事を見極める力がつかないこともあるため、引き受けた役職に真摯に取り組んできた。34歳で事業を継承し、社業とともに団体の役職としての活動にも手を抜かない姿は多くの関係者が知るところであり、「金子さんが言うなら…」と人が動く理由でもある。
金子社長は「社外でもさまざまな役割がありますが、肝心の自社の業務が疎かにならないよう注意しています。書類はすべて目を通していますし、決裁も自分でしています。ただ、私が1人でやっていては人が育たず、できることにも限界があります。今後は、社員に少しずつ任せていきながら、育成に注力していくつもりです」と話す。
金子社長は今後について、従来と同様の考え方では仕事が受注できなくなると厳しい予測を立てている。コロナ以降、どの業種からも2~3割の値上げを迫られており、関係者が皆で協力し合わなければ、これまで通りの受注ができない状態となっている。利益率にこだわらず受注することも必要と訴えている。「私で3代目。設立して73年が経ちましたが、苦しい時期を幾度も乗り越えてきました。結果にとらわれず必死にやってきたことが、良い着地に転ずる経験も何度かあります。今後は新規のお客さまや公共工事の受注にも目を向けて、もっと広い視点と時間軸で動いていくべきだと考えています」と話す金子社長の目は、誠実でありながら戦略的でもあり、未来を見据えている。
福岡への感謝を地域貢献に込める
7月6、7日、「NIKKENホールディングス杯オープンゴルフトーナメント」が開催された。準備段階から想像以上に大きな反響があった。男子の試合はもともと女子に比べて少ない。そうした事情から、「試合に出場するチャンスが増えた」「ありがたい」と多くの関係者から喜ばれたのだ。「私もゴルフが好きでよく行っていますし、そこから仲間の輪も広がりました。このようなトーナメントの開催は会社の事業に直接関係はありませんが、ホールディングス化したことでさまざまな地域貢献もやりやすくなったかと思います。協賛各社の理解を得ながら、今後も無理のない規模で続けていきたいです」と金子社長は語る。
福岡で生まれ育ち、地元への思いはやはり深い。九州中の人が集まる場所で、仕事もあり恵まれていることへの感謝を忘れずに貢献していきたいとしている。
一方で新規参入が多く競争も九州一激しい福岡では、地元だからといって特別なメリットがあるわけではない。常に努力することが必要であり、地道に継続することが大切だと考えている。自社の事業のみならず団体の役職も多忙な日々で精力的に活動をこなしていくうえで大切なことは、「引き受けるなら中心に入ってやること」だという。
「さまざまな問題に直面したとき、それに向き合わなければ常にストレスがかかります。1つひとつこなしていくしかないんです」と、真摯な姿勢を一貫する金子社長が描くニッケンHDの未来は、より一層まっすぐで明るい光に満ちるだろう。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:金子 幸生
所在地:福岡市中央区六本松3-16-33
設 立:2022年10月
資本金:1,000万円
TEL:092-731-0571
URL:https://www.nikken-co.jp<RECRUIT>
募集職種:施工管理(日建建設(株))
応募資格:1級建築施工管理技士資格保有者優遇
採用実績:2022年度/1人
採用予定:2人
問合せ先:092-731-2434
採用担当:総務部 井上
<プロフィール>
金子 幸生(かねこ・ゆきお)
1968年生まれ。福岡市出身。西南学院大学法学部卒。福岡地所(株)を経て95年、日建建設(株)に入社。2003年3月、代表取締役社長に就任。(一社)福岡市建設業協会会長、(一社)九州住宅産業協会副理事長などを務める。趣味はゴルフ、ランニング。関連キーワード
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