麻生氏の晩節を汚さない引退をお勧めする(1)
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政界のキングメーカー
「このところ、麻生氏は政敵と思われた菅・二階両氏などと会食を頻繁にしていますが、永田町では、息子に譲る準備なのではとみられています」。
こう語るのは、在京メディアの記者である。同じような声は地元福岡でも耳にする機会が増えた。
きっかけは、先週発売の週刊ポスト9月1日号で「瀕死の岸田首相にトドメを刺す麻生太郎「電撃引退」決断」との見出しで、麻生氏の顔写真入りで大きく取り上げたことである。
麻生氏は年齢が82歳と高齢であるが、安倍晋三元首相とともに、岸田文雄政権の誕生に尽力した1人であり、中央政界や福岡政界に大きな影響力をもつ。同じ福岡県選出の古賀誠氏とは激しく対立。古賀氏は2021年10月、TBS「報道特集」の取材に対し「いつまであの人たちの言いなりになって果実を与えるのか」と麻生・安倍氏を念頭に激しく非難した。
かつて麻生氏は自民党保守派の筆頭として、いわゆる岩盤支持層から絶大な支持を受けた。自民党が政権復帰後、財務大臣に就任し、緊縮財政に舵を切ると、以前ほどの人気はなくなったとはいえ、現在も麻生支持派は健在である。
地方議員の反発
だが、ここにきて、地元福岡の9区・10区の自民党公認予定者をめぐって、麻生氏と県連との間で微妙な隙間風が吹いている。
自民党県連は、公募と党員投票で選出した、大家敏志・参議院議員、吉村悠・福岡県議会議員をそれぞれ9区と10区の公認候補として党本部に公認申請の上申書を提出した。しかし、自民党本部は今日現在も公認を誰に決めるか態度を明確にしていない。理由は麻生氏の反対である。「俺は認めない」。
責任者である茂木敏充幹事長が、麻生氏を慮って決定を先延ばしにしているのだ。このことにこれまで麻生氏を支えてきた県連幹部や自民党北九州市議団の議員からも不満の声が聞こえる。
「長くやりすぎですよ。古賀誠・山崎拓・太田誠一の3重鎮が引退してから、事実上、福岡は麻生一強です」。
このように自民党所属の福岡県内の地方議員は語ったが、以前は、県南の地方議員や福岡市議など、古賀誠・山崎拓・太田誠一恩顧の議員からそうした声が挙がっていたが、今や、麻生氏に近い議員からも批判が出るようになった。
大家氏は長年、麻生氏に仕えてきたが、親分である麻生氏の姿勢に不満があることは間違いない。キングメーカーとして君臨してきた麻生一強体制も足元から崩壊が始まったとみるべきだろう。次回、麻生氏のこれまでを振り返りつつ、考察していく。
【近藤 将勝】
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