【福大朔独裁政権崩壊(8)】「白い巨塔」を地で行った福大医学部(前)
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朔啓二郎学長によるパワハラ、論文水増しなどの問題が表面化、揺れ続けた福岡大学。17日の学長選挙で、朔学長を破った理学部教授の永田潔文氏が12月1日付けで新学長に就任する。任期は4年間。9学部31学科、在学者数約2万人を擁する総合大学は、朔学長の4年間で、地盤沈下した感が拭えないだけに、永田氏の手腕への期待は大きい。
永田学長が晴れて学長に就任するまでに、信任投票、理事会の手続きが必要だが、最も注視しなければならないのは、10月8日に実施される、学部長らを決める役職者選挙だろう。内閣で言えば大臣に相当する学部長らの任期は2年間。9学部長は投票で決まるが、教務部長、学生部長らは投票から学長指名に制度変更されており、2カ月足らずで退任する朔学長に決定権がある。
変更の背景には、学校教育法の改正で、教授会を単なる「意見を述べる機関」へと格下げし、学長主導の大学運営を後押ししようとする政府の方針があるが、医学部を足掛かりに自らの権威を高めてきた朔学長がどう判断するのか。影響力を残そうと画策するようだと、永田氏のかじ取りは容易ではない。
関係者によると、医学部長を経て、学長になった朔学長は医学部の教授選で、「息のかかった選考委員たちとともに、第一次選考(書類審査)の段階で、有力候補者を落とし、意中の候補者が教授に選ばれるようしていた」(医学部教授)という。その「奮闘努力」が実ったのか、現在、医学部医学科の基礎と臨床を合わせて30数ある講座のうち、福大出身の教授はいまや3分の1以上となっている。
福大医学部卒業の朔学長は2000年、心臓・血管内科学講座の主任教授に就いた。福大出身者として初の主任教授だった。医学部長就任は13年である。
大学に進む際、九州大に進学できなかったことがコンプレックスだったらしく、「学内出世」の階段を駆け上るなかで、「福大は九州大の植民地ではない。卒業生を福大教授に」の思いを強め、「福大びいき」、「医学部びいき」「医局びいき」を拍車がかかった。
山崎豊子の代表作『白い巨塔』は、医学部教授選などをめぐり、医学界の腐敗を鋭く追及した小説だが、福大医学部は小説さながらの世界が展開されたようだ。
そのため、今回の人事のなかでも、注目を集めているのは、医学部関係の人事だろう。前述のように、「朔派」の教授が増えているなか、健康・医療担当の副学長をだれにするのか。投票で決まる医学部長人事はだれを指名するのだろうか。
福大は現在、福大病院(1973年開設、福岡市城南区)、筑紫病院(85年開設、筑紫野市)、西新病院(2018年開設、福岡市早良区)の3つの病院を運営している。総病床数は915床。今年は開院50周年を迎えている。朔学長は就任後、福岡大学病院長を、3病院を統括する総病院長に格上げしている。
病院長選考規程をみると、医学部長、病院事務長らでつくる候補者選考会議で、原則として3人以内の候補者を学長に提出し、学長が指名するようになっている。今回は、朔学長の後任の三浦伸一郎教授(西新病院長)らが福大病院長の候補者に上がっている。朔学長は心臓・血管内科学講座の出身者で、医学部の主要ポストを占めることを目論んでいるとされ、三浦教授の総病院長就任が有力とささやかれている。
(つづく)
【T・T】
法人名
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