2024年12月26日( 木 )

【福大朔独裁政権崩壊(17)】こども病院跡地新病院計画 撤退含めた再検討できるか

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 12月1日に永田潔文理学部教授が学長に就任し、現学長・朔啓二郎氏による我田引水の大学運営に終止符が打たれる福岡大学。ただ、彼とその取り巻きグループによる医学部を極度に偏重した経営姿勢は、大学の将来に禍根を残しかねない、いくつかの負の遺産を置き土産とした。なかでも、懸念されるのが「福岡市立こども病院」跡地(福岡市中央区唐人町)への西新病院(早良区)の移転問題である。

 こども病院跡地の再開発については今年1月、積水ハウス(株)・福大グループが優先交渉権者に決定した。その際、福大が跡地に内科総合病院や健康プラザ、積水ハウスがマンション2棟などを建設する開発計画を提示。その後、福大は7月に同大学の西新病院を同跡地に移転させることを明らかにしていた。

 西新病院は、福岡大学病院(城南区)と筑紫病院(筑紫野市)と並ぶ、福岡大学の付属病院。福岡市医師会から成人病センターを事業譲受することで2018年4月に開院、稼働していた。

 現在は医師・職員など約200人が勤務し、病床数117、循環器、消化器、糖尿病・代謝・内分泌、呼吸器、脳神経の5つの診療科からなる。ただ、建物が老朽化(築後40年以上)し、建て替えも含めた対処が求められていた。

 土地は福岡市医師会の所有。福大は年間数千万円の賃料を支払っており、コロナ禍の影響を強く受けた20年度は約4億5,000万円、22年度も約2億1,000万円の赤字となっていた。つまり、慢性的な赤字経営が続いており、大学病院事業、ひいては福大の経営を圧迫しているのだ。

 現病院と同規模となる新病院は、土地代などの経費を抑えられる利点はあるものの、周囲の競合する病院と診療サービスが競合することから、土地購入資金を含めた開発コストを回収できるのかなど課題が指摘されていた。

 しかも、現在に至る計画策定は、朔氏とその執行部によって、大学内への詳しい説明や慎重な検討を経ることなく進められてきた経緯があることから、医学部以外の関係者の間には否定的な見方をする者が少なくない。

 なかには、「朔氏はレガシーを残したい、“朔記念病院”という位置づけの病院をつくりたいとの思いから、この計画を推し進めてきたのではないか」などと、NetIB-NEWSに辛辣な批判を寄せる関係者もいるくらいだ。

 学内に対して改めて事業採算性などを含めた丁寧な説明、あるいは何らかの見直しを行わなければ新病院建設はスムーズに進まず、その過程を誤れば今後の円滑な大学運営が困難になることは必至な状況である。

 そこで、NetIB-NEWSから永田新学長へ具申したい。こども病院跡地利用計画、西新病院移転計画を白紙に戻すことを。いっそのこと撤退も視野に入れるべきではないか。

 これらを実行するためには、積水ハウスはもちろん、福岡市に対し莫大な違約金が発生するだろう。しかし、事業採算性が低いとみられる計画を実行し、将来の大学経営を危うくするよりかは、はるかに堅実な判断と言える。

 大学経営をめぐる環境は、少子化の影響からますます厳しくなる。しかも、朔氏の4年間の間に彼の業績粉飾問題が明るみになるなど、福大の地位、信頼を低下させてしまった。福大はこのままいくとより難しい経営・運営を余儀なくされるだろう。

 学長交代により学内の膿を一掃するとともに、大学改革を実行に移し、西日本を代表する私立総合大学としての確固たるポジションを再確立できるのか──。こども病院跡地利用の今後の在り方はその試金石といえる。

【青木 義彦】

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