『金持ち父さん』ロバート・キヨサキ氏の緊急提言:ドルから金へ!
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NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。
今回は、10月6日付の記事を紹介する。日本でも大ベストセラーとなった『Rich Dad Poor Dad』(邦題『金持ち父さん、貧乏父さん』の著者であるロバート・キヨサキ氏による衝撃的な警告が注目を集めています。
曰く「アメリカ経済は破綻の瀬戸際に立っている。国際通貨として君臨してきたドルの終焉は近い。イエレン財務長官でさえ、どの銀行とは言えないが、銀行の倒産がこれから避けられないと議会で証言しているではないか」。
彼の見立てによれば、「ドルが崩壊すれば、株も債権もミューチュアル・ファンドも紙くずになる。ドル紙幣はトイレットペーパー以下の価値しかなくなるだろう」とのこと。
確かにアメリカの抱える累積赤字は31兆ドルを突破し、この瞬間も増え続けています。しかも、長期化するウクライナ戦争のせいで、アメリカによるウクライナへの資金援助は鰻登りです。
ウクライナへの支援見直しの議論も起きてはいますが、同時に、台湾有事とか中国との戦争の可能性が取り沙汰され始めています。
しかし、新たな戦争を想定すれば、経済的な裏付けが気になるはずです。かつてないほどの財政破綻状態にありながら、アメリカのドル高、すなわち円安が加速しているのはなぜでしょうか。
やはりアメリカが世界の紛争や戦争に関わるうえでは、いまだに国際基軸通貨「ドル」がモノを言う、あるいは石油の取引には長年に渡り「ペトロダラー」が君臨してきたからです。
思い起こせば、一時、円高傾向が見られましたが、瞬く間に雲散霧消してしまいました。それはひとえにアメリカが金利を操作し、ドル高を演出しているからです。
FRBはアメリカ財務省とタッグを組み、ほぼ無制限にドル紙幣を擦りまくっています。だからこそ、「金持ち父さん」は危機感を募らせる一方なのです。
裏付けのないドル紙幣を後生大事にため込んでいても、間もなく大暴落になってしまい、泣きを見るのは確実だと警鐘を鳴らしています。
しかも、原油価格はバイデン政権が発足した際にはバレル30ドルでしたが、今やバレル130ドルにまで高騰する有り様です。
BRICSと呼ばれていた「ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ」の5カ国連合は、今やサウジアラビアやイランも含め11カ国に拡大。そのうえで、ドルからの離脱を模索し、新たなBRICS共通通貨を提唱しています。
世界最大の産油国であるサウジアラビアが原油代金の決算をドルから人民元、そして新通貨に移行する動きを加速しているわけで、ドルの価値や影響力は風前の灯火と言っても過言ではありません。
「そうした現実をバイデン政権はひた隠しにしている」と、「金持ち父さん」は対米不信感を露にしています。
ではキヨサキ氏のアドバイスは何でしょうか。彼曰く「買うなら金か銀だ。ビットコインもお勧め。レアメタルも買いだろう。不動産も意味がある」。
要は、価値の保証のないドル紙幣に見切りをつけ、価値が保証されている現物にシフトするように忠告しているわけです。
しかも、金や銀などはスイスの銀行に預けていると言います。アメリカの銀行を信用していないのです。
彼の分析では「2021年、アメリカがアフガニスタンから完全撤退を決めたその日に、サウジアラビアはアメリカに見切りをつけることにした」とのこと。
「テロとの戦い」を掲げて20年間にわたりアメリカはアフガニスタンに資金と兵力を投入しました。しかし、何も得ることなく不名誉な撤退を余儀なくされたのです。
この状況を冷徹に分析したサウジアラビアはアメリカの未来を見限り、中国やロシアと手を結ぶ選択を下しました。石油の決済はドルに限定するとしてきた「ペトロダラー時代の終わり」といえるでしょう。
こうしたドルへの不信感を背景に、世界各国の中央銀行は1967年以降、最高のスピードで金(ゴールド)の備蓄を加速しています。当然でしょうが、一般の金取引価格も上昇中です。
なかでも中国は世界最速で金の購入を加速しつつ、国内から海外への金の輸出や持ち出しを禁止する措置を発表しました。
実は、今、世界で最もたくさんの金を保有しているのは中国に他なりません。個人としての中国人は2万3,000tもの金を買い込んでいる模様です。正に「金本位制」への回帰を見越した動きに他なりません。
中国が主導する上海協力機構では、域内の共通通貨として金と連動した「デジタル通貨」を採用しようともしています。
日本政府はアメリカの意向を忖度し、赤字国債やドルを大量に買い支えていますが、実に危険な状況です。
実は、「金持ち父さん」ことキヨサキ氏はトランプ前大統領とは個人的に親しく、彼のホワイトハウスへのカムバックを応援しています。
キヨサキ氏の最近の口癖は「バイデンはマルキストで共産主義のシンパだ。トランプこそが資本主義者で応援するに値する。マルキストは自らの安全しか頭にないが、資本主義者は自由に最大の価値を置く」。
自由な発想で国際政治と金融の先読みを重ね、大富豪の座を手にした日系アメリカ人の「金持ち父さん」です。
彼の最近の警告やアドバイスをどう受け止め、生かすか、じっくりお考えください。残された時間は少なそうです。
次号「第359回」もどうぞお楽しみに!
著者:浜田和幸
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