2024年11月05日( 火 )

ついに決勝へ。アビスパ、星をつかめ! 名古屋0-1福岡

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豊田スタジアム イメージ    サッカーJ1リーグのアビスパ福岡は15日、アウェーの豊田スタジアムで名古屋グランパスとルヴァンカップ準決勝第2戦の試合を行った。

 アビスパが、また1つ新しい歴史の扉を開いた。準決勝第1戦を1-0で勝利していたアビスパは、この試合を引き分け以上で終えれば決勝進出が決定する。

 準決勝第1戦から先発メンバーを5人入れ替えたアビスパが、序盤の試合を完全に支配する。試合開始直後の3分、MF紺野和也の長いクロスボールを名古屋DFが頭で弾き返すと、このボールがMF前寛之の足元へ。前が右足を一閃して放った鋭いシュートを名古屋GKランゲラックが弾き、アビスパがコーナーキックを獲得する。このコーナーキックを紺野が蹴ると、長身のアビスパDF三國ケネディエブスがGKランゲラックと競る。ゴール前にこぼれたボールに詰めていたのはFWウェリントン。寄せてくる名古屋DFをものともせず、電光石火の先制ゴールを叩き込んだ。

 これで2試合合計では2点のリードとなったアビスパだが、守りに回る様子はまったくなかった。いつも通り、前線からの厳しいプレスで名古屋のボール回しを制限し、ボールを刈り取ると素早いカウンターアタックで名古屋ゴールに迫る。

 だが、次にゴールネットを揺らしたのは名古屋だった。21分、右サイドの名古屋MF森下龍矢が中央のFWキャスパー・ユンカーに長いクロスボールを入れる。このボールをユンカーがさばくと、そこに走りこんでいたのは快速を誇るFW永井謙佑。永井はアビスパDF湯澤聖人、DF三國のタックルをかわしてシュートをねじ込むが、直後にVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)が介入する。映像で見ると、ユンカーがパスを出すタイミングでの永井はわずかにオフサイドポジション。ゴールは取り消しとなった。

 勝ち抜けには3点が必要となった名古屋は、必死に攻勢をかける。前半アディショナルタイムには名古屋MF森下が至近距離から強烈なシュートを放つが、これはアビスパGK永石拓海が弾き、こぼれたボールもDF三國が必死にクリア。アビスパは1-0でリード(2試合合計では2-0)して前半を終えた。

 後半開始から、アビスパ長谷部茂利監督が動く。MF井手口陽介、DFドウグラス・グローリと経験豊富なメンバーを投入し、試合の主導権を渡さない構えだ。だが後がない名古屋も、懸命に攻撃を続ける。FWユンカー、FW永井ら前線の攻撃陣はまさにワールドクラス。個の力で打開を図る名古屋に対し、アビスパは長谷部監督が鍛えた組織的なディフェンス、そして最後の最後に身体を投げ出すスピリットで立ち向かう。

 大きな転機になったのが、53分。ユンカーがペナルティエリア内でドリブル突破を図ると、DFグローリとDF奈良竜樹が前後から挟んで対応。ここでユンカーが倒れ、グローリが足をかけたと判断した主審がホイッスルを吹き、ペナルティキックを指示する。キャプテンのDF奈良をはじめアビスパの選手たちが抗議するなか、またもVARが介入。長い中断の後、映像をチェックした主審はユンカーとグローリの足は接触していないと判断。判定を覆し、PKは取り消しとなった。

 64分、名古屋は188cmの長身を誇るFW中島大嘉を投入。右サイドのMF森下が上げたクロスをFW中島が落とし、FWユンカーがシュートというシーンもつくるが、やはりGK永石が盤石のセーブを見せる。

 ここからは、「永石劇場」だった。87分には森下のFKからFW中島の高さのあるヘディング、89分にはMF森下が至近距離から頭上を狙った強烈な一撃、アディショナルタイムにはDF藤井のヘディングシュートを立て続けに防ぎ切り、DF藤井のグラウンダーのシュートをキャッチした永石がボールをしっかり抱え込み、ピッチに倒れこんだところで試合終了を告げる長いホイッスルが響いた。アビスパ福岡は、クラブ史上初めてルヴァンカップの決勝に駒を進めたのである。

ルヴァンカップは、J1の全18チームとJ2の2チーム(昨シーズンJ1に参加していた清水・磐田)で争われるトーナメント戦。通年行われるリーグ戦、学生・アマチュアも参加する天皇杯と並び、日本サッカー界の三大タイトルの1つとされている。三大タイトルを獲得すると、ユニフォームのエンブレムの上に星マークを刻むことができる。たとえば川崎フロンターレの場合は、J1リーグ戦優勝4回、天皇杯優勝1回、ルヴァンカップ優勝1回と6つの星を誇らしげに掲げている。

 「星」が、ついに手に届くところまできた。決勝戦の相手は浦和レッズ、相手にとって不足はない。11月4日、東京・国立競技場。東京オリンピックが行われた輝かしいステージに、アビスパ福岡が勝利の栄光を賭けて立つのだ。

 東京周辺にお住いの福岡にご縁のある皆さん、ぜひ国立競技場に足を運んで、アビスパ福岡のチャレンジを後押ししてほしい。そして、みんなの力で「星」をつかもう!

【深水 央】

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