台湾の交通系ICカード会長が辞任、日本のセクシー系女優起用騒動
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台湾の交通系ICカード「悠遊(ヨウヨウ)カード」を発行する会社の戴季全会長が、日本のセクシー系女優・波多野結衣さんをカードのキャラクターとして起用したことが発端で、9月22日に辞任に追い込まれた。カードは発売前から賛否両論を呼び、政治家を巻き込んでの大騒動となっていた。
台湾や中国大陸では、かつては「海賊版DVD」、現在では、インターネットの違法ダウンロードで、日本のピンク映像(台湾では「A片/エイピエン」と呼ぶ)が流通しており、日本人のセクシー系女優の知名度が高い。業界通によると、かつては日本の映像制作側は著作権侵害で取り締まりを狙っていたが、いたちごっこで手が及ばず、逆に「知名度の高さ」を利用して、台湾等で「セクシー系女優のサイン会」などを実施して収益を上げようと企図するケースも増えてきているという。
交通系ICカードの発売に関して、賛成派は「知名度が高いから良いのではないか」「台湾では猥褻な作品に出演しているわけではない」、一方、反対派は「公共交通機関のICカードでこういった女優をキャラクターにするのはおかしい」「猥褻で不適切」といった意見が出されていた。猥褻性だけでは発売中止とはならなかったが、そこから火が付き、台北市議会での市長の市政報告でも、カードに関する報告の不備の指摘、さらに予算審議が遅れるといったさまざまな問題が噴出し、マイナス因子の「合わせ技」で、会長の辞任に至ってしまったという。
一連の混乱を招いたことについて、柯文哲・台北市長は、議会で謝罪することになった。台湾メディア関係者は「日本の女優は、その出所がどうであれ、台湾でいつの間にか知名度が上がり、市民権を得ていることがある。日本人が知らないような女優の名前でも、台湾人の間では知られていることがよくある。今回のキャラクターになった波多野結衣さんも、日本での知名度よりも、むしろ台湾での知名度の方が高いのではないか。しかし、行政が関わるような場所に起用するのは波紋を呼んで当然」と分析している。
このカードは販売方法も限定発売にするなどの処置がとられていたが、一連の問題の余波で、発売は中止された。当初発売を予定していた1万5,000セットのうち、約3,000が「広報用」として市場に出回らないように工作されていたことものちに発覚し、職権濫用、利益の私的誘導などの批判も上がっているという。
【杉本 尚丈】
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