2024年12月22日( 日 )

2024年に向け、ますます鮮明になる日本株優位(前)

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 NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
 今回は11月6日発刊の第343号「2024年に向け、ますます鮮明になる日本株優位」を紹介する。

世界一のブライトスポット、日本株式 

 日本は政治においても、経済と株式においても主要国のなかで最も明るい国といえるのではないか。岸田政権の支持率が大きく低下しているとはいえ、弱体な野党に助けられて政権基盤は盤石である。経済においても、IMFが10月の世界経済見通し(2023年)で日本を2.0%と4月時点の1.3%から上方修正した。中国、ユーロ圏の下方修正のなかで日本経済の好調さは際立っている。

 それは年初来10カ月間の株式のパフォーマンスにも表れている。日経平均株価の+23%は、米国SP500+14%、ドイツDAX+8%、英FT100の0%、中国上海総合-2%、韓国総合+6%、台湾加権+17%と主要国株価のなかで突出している。

混沌の度を強める地政学情勢

 一方、目を世界に転ずれば株式投資環境は良好とは言い難い。まず地政学情勢が混迷の度を極めている。米中対立と中国による台湾侵略の可能性の高まり、ロシアによるウクライナ侵略、ハマスによるイスラエル攻撃とイスラエルの反撃など、戦後の民主主義、国際法に基づく国際秩序は大きく揺らいでいる。

 米国のプレゼンスの低下が大きい。オバマ政権が米国は世界の警察官の任には堪えられないと言い、トランプ政権はMAGAを唱えて同盟軽視を強めた。中国が異例のスピードで軍事増強を進めるなかで、米国防衛予算は米ソ冷戦末期のレーガン時代の対GDP比7.7%から2022年には3.6%と半減した。

先進国の社会分断、歴史問題が根源に

 各国国内の政治情勢も、分断とポピュリズムの高まりが顕著である。欧州では反移民を掲げる右派ポピュリスト政党が台頭している。米国でも中間層の没落と左右の対立、共和・民主両党内での求心力の低下と議会の機能不全化など、2024年大統領選挙を前に、政治の不透明性が高まっている。この欧米先進国の国内分断の背景には、各国が奴隷制や植民地支配により世界を制覇してきたことの負の遺産という、いわば歴史問題としての側面がある。

 日本では中国、韓国など周辺国との間で過去の戦争や植民地支配にどう向き合うかを問われる歴史問題が摩擦の種となってきた。それはより大きなスケールで欧米諸国にのしかかり、政治安定や経済成長の制約要因になりつつある。その深刻さは日本以上のものかもしれない。 

 経済面では世界の工場である中国でバブル崩壊が不可避となり、急減速の心配が出てきた。金融緩和が効かない典型的な流動性の罠に陥りつつある。ユ―ロ圏経済もロシアへの依存度を強めすぎたエネルギー供給の脆弱性や、対中貿易赤字の急拡大など困難が強まっている。当面、想定外の強さを謳歌する米国経済も、FRBによる大幅な利上げの影響が顕在化し減速は避けられないであろう。

(つづく)

(後)

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