2024年11月22日( 金 )

ラグビーワールドカップ2023の総括とラグビー界のこれから(5)

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ラグビー場 イメージ    外国籍選手に関しては「世界標準のプレイが間近で見られて、所属する選手たちは今まで以上に心技体がレベルアップする。なぜなら、彼らはプレイそして生活そのものが超一流である。若手選手にとっては、生きたお手本となる。超一流からどんどん学んで貰いたい」という歓迎する評価が一般的だ。

 一方で「列強国の代表選手が多数在籍すると、国内の有望選手の出場機会が減少する。つまり国内選手のレベルアップにつながらない。外国籍選手に関する登録のレギュレーションを、もっと厳しくすべきだ。10、20代の若手選手の門戸も狭くなる」とする意見も多数ある。

 外国籍選手に関する賛否については、正解不正解はない。リーグワンの各チームは、純粋なプロによるマネジメントもあれば、プロアマ混在しているチームがあるもの事実。外国籍の選手たちは、プロである。今後リーグワンもプロ化へ加速することが予想でされる。世界標準の本物のプロとともに活動することは、自らのレベルアップに直結する。そして、スタジアムへ訪れるサポーターやファンの増大に大きく寄与する。

 なお、リーグワンでの活動において外国籍選手の報酬は、相応の金額ともと言われている。いずれにせよ、今後も世界標準の列強国選手の来日は、活発に続けられる。日本のリーグワンだけでなく、南半球のスーパーラグビー・パシフィックやイングランドのプレミアシップ・ラグビー、フランスのトップ14など、各国のリーグへ活躍の場を求めての参戦も、増え続けるであろう。

次世代日本人も列強へ進出せよ

 日本ラグビー界隈は今後、ティア1と称される列強国─とくにベスト3~5の代表チーム(SAやNZL、アイルランド、オーストラリアなど)と対等に戦うことで、勝利への期待がさらに高まる。そのためには、日本人選手もリーグワンでの活躍とともに、世界各国プロリーグへの参戦を積極果敢に実行すること。ユース世代から20歳中盤までの選手たちには、どんどん挑戦して貰いたい。そのためには、

  • 1.ユース世代の海外遠征をより拡大させる
  • 2.高校生からのリーグワンチームへの入団を促進させる
  • 3.大学生選手のリーグワンチームへの特別エントリー(Jリーグ・WEリーグ・Bリーグなどにみられる特別指定選手制度)の導入

 つまり、10代後半から25歳前後にかけての選手たちが、より高いレベルでの実戦を多数経験する機会を創出することだ。現在日本人のなかでも、中学校・高校からNZなどラグビー列強国へ留学する選手が存在するが、まだレアなケースだ。大学生やリーグワン選手も、列強国のクラブやチームに参加することがあるが、時間・機会とも限定的である。日本人の代表選手が世界で台頭するには、まずは国内での制度を改善することが急務である。

 まだまだ書き足らない項目もあるが、まずはすぐに取り組める内容を記した。日本ラグビーは日々進化していると同時に、世界ラグビーもそれ以上に進化している。トレーニング、スキル、戦術、戦略、マネジメント、テクノロジー、サイエンスなどラグビーに関わるすべてにおいてだ。

 最後にスポンサーの最上位のワールドワイドパートナーに、アサヒビールが名を連ねた。試合後のドレッシングルーム内で、選手およびスタッフが歓談しながら「スーパードライ」の小瓶を美味しそうに味わっていた光景が、印象的であった。日本企業の製品が、世界の晴れ舞台で見られることは、同じ日本人として誇らしい。次回以降もワールドワイドパートナーのなかに、日本企業が名を連ねることを期待する。

(了)

【青木 義彦】

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