福岡・九州で高まる宇宙開発ビジネスの機運
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福岡・九州で今、宇宙開発ビジネスの機運が大いに高まっている。九州大学発の宇宙ベンチャー・(株)QPS研究所(福岡市中央区、大西俊輔代表)はこのほど、東京証券取引所からグロース市場へ上場が承認された。上場日は12月6日の予定。
同社は2005年に設立。世界トップレベルの高精細小型レーダー衛星「QPS-SAR」を開発し、夜間や天候不良時でも任意の対象を高分解能・高画質で観測できるSAR(※)画像を提供するなどしている企業だ。
QPS-SARは、従来のSAR衛星の1/20の質量、1/100のコストを実現している衛星。25年以降には、36機の衛星網で世界中のほぼどこでも特定地域を平均10分間隔で観測できる「準リアルタイムデータ提供サービス」を目指している。
宇宙ベンチャーの上場は、今年4月に月面着陸にチャレンジ(結果は失敗)したことで一躍知名度が高まった(株)ispace(東京都港区、袴田武史代表、4月上場)に続くものとなっている。
日本の宇宙開発はこれまで、国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中心となってきたが、今後は欧米などと同様、民間企業の参入がより活発になることが期待されている。
福岡県では今年、宇宙開発に関連する重要なイベントが行われた。6月には久留米市において、国内最大の宇宙国際会議「第34回宇宙技術および科学の国際シンポジウム(ISTS)」が開催された。
そして、今月15日には九州経済連合会などで構成される実行委員会が福岡市で「九州宇宙ビジネスキャラバン2023」を開催。宇宙産業に関わる講演や展示会が行われ、多数の参加者を集めた。
このイベントでは宇宙飛行士の山崎直子さんが講演。「九州は全域にさまざまな(宇宙開発関連の)企業や研究所があり、技術が集積している。これはとても大きなアドバンテージ。九州がもつポテンシャルと宇宙がつながることを期待している」と話した。
それに先立つ同14日には、北九州市でも宇宙ビジネスセミナーが開催され、宇宙ビジネスや衛星開発における日本の第一人者によるセミナーや、新たなビジネスや研究開発にチャレンジするコミュニティ「北九州宇宙ビジネスネットワーク」の会員募集などが行われた。
九州には種子島宇宙センターがあり、半世紀前から多くのロケットを打ち上げてきた実績がある。モルガン・スタンレーの報告書は、世界の宇宙ビジネスの市場規模が2040年には148兆円に達すると予測している。そのなか九州・福岡県の企業が日本の関連ビジネスを牽引することに大きな期待が寄せられる状況だ。
※synthetic aperture radar=移動させることによって仮想的に大きな開口面(レーダーの直径)として働くレーダー ^
【田中 直輝】
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