コロナ禍後、表面化した航空過密への不安(前)
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羽田空港事故~過密化する世界の空港
1月2日に羽田空港で発生した日本航空(JAL)機と海上保安庁の航空機の衝突事故は、日本だけでなく世界中に衝撃を与えた。この事故で海保機に乗っていた6人のうち5人が死亡し、JAL機に乗っていた乗員乗客379人は全員脱出した。事故原因については現在究明中だが、海保機が離陸許可を得たと誤認して滑走路へ誤侵入したことが主な原因と見られている。ただ、管制室においても誤侵入を知らせる警告が表示されていたにもかかわらず、管制官が気づかなかった可能性が報道されており、多重のヒューマンエラーが引き起こした惨事と見られ、根本的な対策が求められる。
本件事故については、発生当初から世界的な関心を集めている。たとえば、YouTubeで世界のニュースを取り扱う代表的なメディアの1つ、イギリスのskynewsは事故発生直後から鎮火まで延々とLIVE中継を行い、最も多いときで2万5,000人ほどの人が同時に中継を見ていた。また、通常のニュース番組のなかでも、長い時間を割いてライブ映像と航空専門家の解説を報道した。
メディアの報道では、JAL機の379名全員が安全に脱出したということがとくにセンセーショナルに取り上げられているが、関心の背景には世界で最も安全といわれる日本の空港で日本の航空機が事故を起こしたことと、コロナ禍が明け世界の航空旅客需要が回復しつつあるなかで、空港の過密問題への危機感が世界的に高まっていることがあると思われる。
たとえば、skynewsの本拠地があるイギリスのヒースロー空港は、世界一の過密空港である。コロナ直前の19年には約8,090万人の旅客が利用していた【表1】。羽田空港と近い規模である。ところが、羽田空港が滑走路を4本持つのに対して、ヒースロー空港は滑走路が2本しかない。羽田空港が東京湾に面しているため埋め立てによって沖合に拡張展開することができたのに対して、ヒースロー空港は内陸のため、滑走路の増設計画が長年議論されてきたが、環境問題や住民の反対などで実現には至っていない。
また、近年は、気候変動による極端な大雪や暴風などの気象現象が航空便の運行に大きな影響をおよぼしており、遅延やキャンセルの主な原因の1つとなり、空港の過密問題と相まって大きな混乱を引き起こすようになった。
今、世界の航空業界は大きな課題にさらされている。
(つづく)
【寺村朋輝】
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