2024年12月23日( 月 )

コロナ禍後、表面化した航空過密への不安(後)

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日本の空港の旅客利用者

 【表2】は、日本の空港を2022年度(22年4月~23年3月)の旅客数の順位でならべたものだ。23年度の実績は出ていないが、月別では23年8月に羽田空港の利用者数が700万人を超え、コロナ禍前の水準に戻っている。

日本の空港別旅客利用者数 出典:神戸空港資料に追記
日本の空港別旅客利用者数
出典:神戸空港資料に追記

 【表2】中の青マークは九州・沖縄の空港だ。東京からの移動では、中国地方までは新幹線の利用者も多いが、九州は飛行機が多く、そのため空港への依存度が高い。また、19年度に利用者が2,000万人を超える空港のうち、福岡空港だけが1本の滑走路で運用されていることが分かる。

日本一の過密空港、福岡空港の現状

 日本の空港のなかでも、とくに過密状態にあるのが福岡空港だ。福岡空港の旅客利用者数はコロナ直前の19年に2,300万人に達し、羽田、成田、関西に次ぐ国内第4位の空港となり、22年度は第3位に上昇した。しかし、滑走路は全長2,800mの1本しかなく、また離着陸が可能な運用時間は午前7時~午後10時までの15時間に限られている。その制限下で年間発着回数(18年実績)は18万回、1時間あたり約32便、実に2分に1本のペースで離着陸がなされていることになる。世界でも最も過密なスケジュールで運用されている空港の1つだ。

 福岡空港の過密状態は、中国や韓国をはじめとするアジア諸国との交流の活発化により、航空需要が増加していることが主な原因だ。しかし、滑走路の取り扱い離発着数はすでに限界に達しており、これ以上の発着枠の増加は困難だ。過密なスケジュールのなかで離発着を行うため、1つの航空機の遅延がほかの航空機にも影響をおよぼすことが多く、福岡空港では、遅延の発生が日常茶飯事となっている。また、福岡空港の門限問題もある。23年にはマニラ発福岡空港行きの便などが、福岡空港の門限に間に合わずに、出発地に引き返すという事態が複数回発生した。

福岡空港・第2滑走路増設とそれ以上の対策

 そのような福岡空港の「過密」の緩和のために、第2滑走路の増設工事が15年度から進められている。新たな滑走路は全長2,500m、事業費は約1,600億円で、25年度の供用開始を予定している。

 ただし、滑走路が2本に増えても、同時に2本の滑走路を離発着に利用することはできない。それは2本の滑走路の間隔が210mしかないためだ。現在の年間17.6万回程度から、まずは年間18.8万回へ、さらに将来的には21万回まで増加させることができるとしているが、現在の航空需要から考えると、すぐに限界に達すると考えられている。

 国土交通省は、30年後の福岡空港イメージとして、旅客数3,500万人 (国際:1,600万人、国内:1,900万人)とし、アジアのトップクラスの国際空港を目指すとしているが、その前提には、24時間空港を打ち出す北九州空港との連携が前提であり、貨物専用機を北九州空港へ誘致するなど、拠点分散が不可欠となっている。

30年後の福岡空港・国際線地区(イメージ) 出典:国土交通省資料
30年後の福岡空港・国際線地区(イメージ)
出典:国土交通省資料

 福岡都市圏と北九州市が今後、アジアの主要な国際都市として飛躍するには、航空問題の解決に向けた連携が不可欠となるのは間違いない。

(了)

【寺村朋輝】

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