2024年11月22日( 金 )

東福岡、連覇ならず 全国高校ラグビー決勝(前)

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“死闘”─高校ラグビー史に残る名勝負

東大阪市花園ラグビー場 イメージ    7日に開催された第103回全国高等学校ラグビーフットボール大会決勝。東福岡(福岡)と桐蔭学園(神奈川)の対戦は、8-5のスコアで桐蔭学園が3大会ぶり4回目の優勝をはたした。東福岡は連覇を逃した。

 まさに“死闘”であった今回の高校ラグビー決勝戦。高校ラグビー史に残る、互いの力を出し切った名勝負であった。その証左として、花園ラグビー場の観客は、試合終了後両校メンバーに対し、4,950名の観衆が一同、拍手喝采で健闘を称えていた。得点はトライ1つずつ。13分桐蔭学園のFB吉田晃己のペナルティゴール3点が、雌雄を決したかたちとなった。ペナルティが東福岡7、桐蔭学園9というパフォーマンスの規律が保たれた。またハンドリングエラーは、それぞれ4ずつ─高校ラグビー界の東西“横綱”が、決勝戦に相応しいパフォーマンスを披露した。

 桐蔭学園のトライは24分。東福岡陣22m内右東福岡のハンドリングエラーを、桐蔭学園WTB田中健想がそのエラーを逃さず、ボールをピックアップしそのままランしてトライ(コンバージョン失敗)

 東福岡は56分、桐蔭学園のロングキックからのカウンターアタックを試みる。東福岡陣10mセンター付近で、東福岡FB隅田誠太郎がキャッチし左サイドへランで仕掛ける。逆サイドからWTB深田衣咲が隅田をサポートし、隅田のパスを受け左ヘラン。桐蔭学園ディフェンスのギャップを突きゲイン。再び隅田がサポートし深田のパスを受けラン。そしてWTB西浦岳優へつなぎ、桐蔭学園陣10m左で進入。素早くボールリサイクルし、右オープンへ展開。1つコリジョン(ブレイクダウン)し再びボールリサイクル。右オープンへパスをつなぐ。右サイドタッチ側にNo.8高比良恭介がスタンバイし、パスを受けキャリー。桐蔭学園の3選手をコリジョンで倒しながら約30mラン。高比良がタックルをうけながらオフロードパスで、深田にパス。深田はCTB神 拓実へパスし、神が走り切り右隅へトライ(コンバージョン失敗)

 両校の高度なスキルは前述したハンドリング(パスワーク)をはじめ、ラン、キック、タックル……ボールをもってスペースに運ぶ、パスをする、コリジョン、キックで陣地を確保する。それらを阻止するため、タックルでボール=攻撃権を奪還する─ラグビーの戦い方の本流・本質が存分に発揮された、近年稀に見る試合であった。

 互いに1トライに抑えたのは、ゴール前の強固なディフェンスによるもの。80%超のタックル成功率と自陣ゴール前での15人一体となったチームディフェンスは、決勝の象徴的なシーンであった。

 試合終了前5分間は、東福岡がボール支配し続けた。再三桐蔭学園ゴール前へ迫りトライチャンスをつくった。しかし桐蔭学園の渾身のタックルにより、トライを阻止しターンオーバー─アタック優位の現代ラグビー潮流のなか、8-5というロースコアの激戦は、ラグビーの奥深さを見せられた。

(つづく)

【青木 義彦】

(後)

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