東福岡、連覇ならず 全国高校ラグビー決勝(後)
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二極化に拍車がかかる高校ラグビー
東福岡と桐蔭学園。今回はもっぱら「両校の決勝である」との下馬評で、その通りとなった。つまり「両校のどちらかが優勝である」の予想は、容易であった。
東福岡のフィールドおよびトレーニング施設は、プロ並のクオリティ。さらにテクノロジーを駆使しながらの情報収集や分析。何よりも「親族や友人には見せられない」(関係者談)とするトレーニングの実行─中学生のラグビーエリートが集結し、その選手たちがどこよりもハードトレーニングを行いながら、頭脳も鍛錬する。選手とスタッフそしてOBが一体となって、毎シーズン日本一を目指す。桐蔭学園も同様である。
他方、高校ラグビーの二極化へ拍車がかかっていることも事実だ。
東福岡、桐蔭学園とも部員数100名を超える所帯(東福岡:146名、桐蔭学園:103名)。選手層が厚く、強化を推進できる。両校に続く実力の高校ラグビー部もやはり、100名近い部員数を有する。100名におよばないまでも、50〜80名程度の所帯を有する。そのほとんどは、私立校だ。
対して各都道府県の公立校はどうか? 過去高校ラグビーは、公立校の台頭の時代も存在した。現在も「東福岡、桐蔭学園を倒したい」という選手が、公立校へ進学するケースもある。福岡県では筑紫。佐賀県の佐賀工業。大分県の大分舞鶴。宮崎県の高鍋。京都府の京都工学院。奈良県の御所実業。秋田県の秋田工業など……一部の地域の高校では、他県の中学生を迎え入れる制度も設えるなど、1人でも多くの部員確保を行う。前述した高校は、常時30から70名の部員編成で、強化できる体制にある。私立の強豪の壁が厚いなか、強豪に挑めるポジションにある。
しかしながら、強豪に挑めず、単独校での試合出場が叶わない公立校が多数存在する。(公立だけでなく、私立校でも存在する)単独校での出場ができない場合は、できない高校同士が合同でチームを編成し、公式戦に挑む。今般の第103回では、合同チームが初出場した。(福井県代表:若狭東・敦賀工業)単独校での出場が叶わない高校にとっては、嬉しいニュースであった。そのようななか、香川県代表の高松北が、1回戦勝利したものの、2回戦を棄権した。理由は、「公式戦においては、試合開始時に両チームともに15名が競技区域にいなければならない」という規則を満たせずであった。高松北の部員数は15名であった。
以上のように、高校ラグビーの二極化は、ラグビー普及において喫緊の課題となる。
私立強豪校への有力選手進学は、止めることはできない。なぜなら、進路を選択するのは選手であるから。しかしこのままでは、競技人口が減少するだけでなく、競技力そのものの向上がジリ貧になることは明らかだ。
ラグビーの公式戦に挑むには、最低でも25名メンバー編成は不可欠である(できれば30名が望ましい)。
今すぐにできる対策として考えられるのは、
1、 異種競技の選手のかけもち(欧米のアマチュアではスタンダード)
2、 全国大会予選や公式戦で敗退した選手を、補強できる選手登録など制度上を整備する必要があるが、人間がすることなのでできる。
強豪国ラグビーのノウハウが身近になり、年々競技レベルは高まっている。ぜひ次世代の選手が、存分にラグビーで挑戦できる土壌の再構築を期待する。
(了)
【青木 義彦】
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