【BIS論壇No.431】2024年10大リスク
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は1月9日の記事を紹介する。米調査会社のユーラシア・グループは8日、「2024年世界10大リスク」を発表した。
1位 米国の分断
2位 瀬戸際の中東
3位 ウクライナの事実上の割譲
4位 AIのガバナンス欠如
5位 ならず者国家の枢軸
6位 経済回復ができない中国
7位 重要鉱物の争奪
8位 インフレの足かせ
9位 エルニーニョ再来
10位 米国でのリスキーなビジネス1位に米国の政治的分断を選んだ。11月の大統領選挙に向けて米国の分断はさらに悪化すると予測。民主党バイデン大統領、共和党トランプ前大統領のどちらが勝利しても社会や政治の制度が損なわれ、米国の国際的な地位が低下するとみている。報告書は「米国の政治システムはほかの先進的な民主主義国家よりも機能不全に陥っている」と指摘。2期目には86歳になるバイデン氏だけでなく、トランプ氏も大統領には不適格と指摘。一方、トランプ氏が共和党候補に指名された瞬間から、その政策方針が論争を巻き起こすだろうとの懸念を示す。
2位にはイスラエルとハマスの衝突が続く「瀬戸際の中東」情勢。米国やイランなど多くの国が関わり、「ガザでの戦闘は24年に拡大する紛争の第1段階に過ぎない」という。一方、紛争がイランに波及すれば、原油の流れが阻害され、価格が上昇すると予測。
3位は「ウクライナの事実上の割譲」だ。「ウクライナは24年、事実上の分割統治を受けることになる」と予測。ロシアは戦場で主導権を握っており、物資面でも優位に立っている。ウクライナが対策を取らなければ「早ければ25年にも敗北する」とし、今年が「戦争の転換点になる」と厳しい予測をしている。ユーラシア・グループ社長で国際政治学者のブレマー氏は、「米国の分断やイスラエルとハマスの戦闘、ウクライナ侵攻に対して、どの指導者もこれを終わらせようとする意志もなく、能力もない」と厳しく指摘。
そのほか「AIのガバナンス欠如」「中国は経済回復ができない」「EV時代を控えた重要鉱物の争奪」「世界のインフレ」など危機要因を挙げている。2024年は日本でも能登半島地震など激変が生じており、政治、経済面での真剣な対応が強く要請される。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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