2024年11月21日( 木 )

崖っぷちの韓国建設会社、倒産の危機に直面する(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

主な資金調達の方法である
プロジェクトファイナンス(PF)

韓国 不動産 イメージ    プロジェクトファイナンス(PF)とは、事業を推進するのに必要な資金を、そのプロジェクトの未来の成果を担保に、金融機関から資金調達することを指す。とくに、不動産開発の場合には、投資金額の規模が数十億円から数百億円になり、規模が大きいため、金融機関から資金を借りて行うことが多い。借主は建物を建てた後、それを分譲し、そこから発生する収益で借入金の返済に充てる。

 しかし、建設が予定通りに完了するかどうか、それから分譲がうまく行くかどうかなど、先のことは誰もわからないので、不動産プロジェクトの利率はどうしても高くなる。金融機関にとってPFは利率が高いというメリットはあるものの、建設が無事完了するかどうか、また分譲がよくできるかどうかわからないリスクがある。そのため、金融機関は建設会社に責任をもって建設を完了させることと、未分譲になった場合に備えて、建設会社に支払保証を求めることになる。

 韓国ではアジア通貨危機の以前は、建設会社が土地を購入し、建設をすることが通常であった。ところが、アジア通貨危機の際に、不動産開発の失敗が会社の存亡すら危うくするのを見て、建設会社は施行のみを担当し、施工会社が土地の購入と許認可を受け持つという独特な構図が韓国では定着した。施工会社は、豊富な資金余力がない場合が多いため、不動産開発を推進するのに、金融機関から資金を貸し出してもらうことが多い。いわゆる不動産PFである。その際、金融機関は資金力のある建設会社に融資返済への連帯保証を求める。建設会社は仕事が欲しいので、PFに支払保証をし、案件を受注する。

 問題は、不動産景気が冷え込み、工事が中止したりして、分譲がうまく行かず、施工会社が借りた資金を返済できない時だ。その際には建設会社は施行会社に代わって、支払い義務を負うことになる。不動産PFの金額規模は、不動産景気によって増減する。世界金融危機のときには、不動産景気も冷え込み、その金額は大きく減少したが、2014年以降韓国の不動産景気が活気を取り戻したことで、その金額も大幅に増大した。昨年9月末を基準に不動産PFの金額は134兆3,000億ウォンで、13年末(35兆2,000億ウォン)より4倍ほど増加している。

(つづく)

(後)

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