政治を刷新するためには選挙で勝たねばならない
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Net-IBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、米国資本は日本における収奪を拡大するためにTPPを推進しているとした、10月5日付の記事を紹介する。
米国のアトランタで開かれているTPP交渉閣僚級会合で大筋合意が成立した模様である。
自動車の原産地規則、医薬品のデータ保護期間、乳製品輸入枠拡大の三点が論点として残されていたが、妥協が成立し、TPPが大筋で合意に達したものである。合意成立後、各国が批准手続きを実行し、調印に至ればTPPが発効する。日本では、2012年12月総選挙に際して、安倍晋三自民党が主権者に6項目の公約を明示した。
わが党は、TPP交渉参加の判断基準を明確に示します。
TPP交渉参加の判断基準
1 政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
2 自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
3 国民皆保険制度を守る。
4 食の安全安心の基準を守る。
5 国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
6 政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。これが、自民党が主権者に明示した公約である。
このなかで、もっとも重大な問題がISD条項である。ISD条項は、「国の主権を損なう」ものであるから、自民党は「ISD条項に合意しない」ことを公約として明示した。今回、大筋合意に達したTPPにISD条項が盛り込まれているなら、日本はTPPには参加しないということになる。ところが、現実には、TPPにISD条項が盛り込まれている。
したがって、日本はTPPに参加できない。閣僚級会合で大筋合意が成立したとしても、日本のTPP参加はない。これが当然の結論である。「食の安心・安全」や「国民皆保険制度」なども、6項目の公約に明示されているが、ISD条項が盛り込まれると、これらの公約を守ることも不可能になる。外国資本が、遺伝子組換の表示義務によって損害を蒙ったとしてISD条項を発動し、裁定機関が外国資本の主張を認めると、「食の安心・安全」を守ることはできなくなる。
医薬品や医療機器などの価格規制に対しても、外国資本がISD条項を発動する可能性が高い。日本の医療費価格が跳ね上がれば、公的医療保険で国民医療を賄うことができなくなる。医療は公的医療保険医療と民間医療保険医療の二本立てに移行することになる。このことは、高い保険料支払いを必要とする民間医療保険加入者は十分な医療を受けられるが、公的医療保険医療しか受けることのできない一般庶民は十分な医療を受けることができなくなることを意味する。
また、TPP交渉の内容はベールに覆われており、主権者の「知る権利」も侵害されている。主権者はすでに「TPP交渉差止・違憲訴訟」を提起し、私も原告団に加わっているが、憲法違反で、かつ、国民生活を根底から破壊するTPPに日本は参加してはならない。
日本のTPP参加には、国会の批准が必要であり、これを阻止するために、まずは、2016年夏の参院選で、TPP反対勢力が参議院過半数を占有する状況を生み出さなければならない。オールジャパンの闘いの対象は、まずは、戦争法、原発稼働、TPPの三つである。
TPPは誰かが得をして、誰かが損をする枠組みである。損をするのは日本である。米国資本は日本における収奪を拡大するためにTPPを推進している。もともと、日本が入らなければTPPを推進する理由はなかったのだ。
※続きは本日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1261号「公約違反のTPP日本批准を絶対に阻止する」で。
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