2024年11月22日( 金 )

福岡工業大学と台湾明新科技大、半導体人材育成で連携 九州の半導体産業での人材不足は毎年1,000人の見込み

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    九州地方で半導体産業の拡大と人材不足の問題に対処するため、福岡工業大学と台湾の明新科技大学は、2023年12月25日に学生・教員交流と半導体技術の共同育成に関する覚書を締結した。

 台湾の半導体業界のキーポイントである新竹サイエンスパークの近くに位置する明新科技大学は、21年に台湾で初めて半導体学部を設立した。同大学では、半導体製造の「後工程」に特化し、実際の製造ラインを使用した実践的な教育を通じて、高度な技術力と知識を備えた人材を育てている。

 福岡工業大学は、明新科技大学との協力関係を通じて、交換留学プログラムなどを利用し、台湾で学んだ技術を九州の産業界で応用することを計画している。この協力により、九州の半導体産業に貢献する中心的な人材が育成されることが期待される。

 また、日本の企業に就職することを希望する台湾人技術者の確保は、日本市場への進出を図る台湾の半導体企業にとって重要な課題である。明新科技大学は、日本からの留学生を積極的に受け入れ、日本企業でのインターンシップを含む教育プログラムの検討を進めている。これにより、日本と台湾の半導体業界は相互の利益を享受することが見込まれる。

 福岡工業大学と明新科技大学の協力は、国際的な半導体技術者育成の新しいモデルを提案する。両校は、教育プログラムやインターンシップを通じて、学生に半導体産業に特化した実践的な技術と理論を提供する。これにより、学生はグローバルな視野をもち、国際舞台で活躍する即戦力としての成長が期待される。

 この取り組みは、日本と台湾が直面する半導体産業の人材不足に対する重要な解決策となる。半導体産業は高度な技術力を必要とするため、国際的な教育交流と実践的な経験の提供が欠かせない。この連携は、半導体産業の持続可能な発展を支えるための専門知識をもつ人材を育成するうえで貢献する。

 九州半導体人材育成等コンソーシアムによると、九州地方の半導体産業の人材不足は、今後10年間で毎年1,000人程度が不足すると見込まれており、とくに生産技術職の人員不足は産業の成長にとって重大な問題である。福岡工業大学と明新科技大学の協力は、このような人材不足に対する具体的な対策として非常に重要となる。

 さらに、福岡工業大学との覚書締結に先立ち、12月22日には明新科技大学の劉国偉学長が熊本県庁を訪問し、木村敬副知事に対し、熊本での半導体関連の人材育成への協力について意欲を示している。劉学長は、明新科技大学が企業との間で行っているインターンシップでの交流や機材の寄付など、産業界と学界の連携による具体的な半導体人材育成の取り組みを紹介した。九州地方における半導体人材の育成に向けた取り組みが具体化している。

【児玉 崇】

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