2024年11月26日( 火 )

溢れ出る涙が止まらなかった

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回は、「鳩山元総理に対するメディアの攻撃が続いているが、鳩山氏が志賀原発について指摘したリスクの本質は間違いではない」と指摘した2月4日付の記事を紹介する。

 この国の政治に求められているものは何か。

 鳩山友紀夫元総理が主宰されている「東アジア共同体研究所」が「UIチャンネル」という名の動画配信を続けられている。

https://x.gd/24rqN

 極めて優れた番組である。この番組の視聴を拡大することが求められる。番組再生回数を100万回単位に引き上げるべきだと思う。

 2月5日に放送が予定されている第522回番組に出演させていただく。定時でないタイムシフト視聴も可能であるから是非ご高覧賜りたい。

 テーマは「いま日本政治に求められるもの」である。先日、1月27日にISF(独立言論フォーラム)が主催するシンポジウムに出席させていただいた。

「鳩山内閣の知られざる真実」

https://x.gd/NpF9O

「鳩山政権の誕生と崩壊」

https://foomii.com/00050

 にも記述したが、いまだに鳩山元総理に対するメディアの攻撃が続いている。

 1月1日に能登半島で大地震が発生し、震度7の震度を記録した石川県志賀町に立地する北陸電力志賀原子力発電所も重大な事故に遭遇した。岸田内閣が「火災が発生した」ことを発表。鳩山元総理がそのことをXに投稿したことに対して激しい攻撃が浴びせられた。

 政府の発表後に北陸電力が「火災の発生」を取り消したことが理由だが、目くじらを立てて批判するようなことでない。現地で確認した川内博史元衆議院議員によると、現地の志賀原子力発電所では火災発生の可能性を否定しなかったとのこと。

 この地震で志賀原発の変圧器が故障して油が漏れ、外部電源5回線のうち2回線が使用不能になった。1月16日の余震後には1号機の非常用発電機3台のうち1台が試運転中に自動停止した。これらは事実であり、志賀原発のリスクに対する警鐘を鳴らすことを不合理とすることはできない。

 京都大学原子炉実験所元助教の小出裕章氏は中日新聞のインタビューで、「志賀原発が10年にもわたり停止していたことが幸いしたが、今回の地震で志賀原発は外部電源の一部系統が使えなくなり、非常用発電機が一部停止し、稼働していたら、福島第1原発と同様の経過をたどったかもしれない」と述べている。

 志賀原発のリスクを指摘することは正鵠を射るもの。ところが、メディアがあらゆることがらに関して鳩山元総理を攻撃する。私たちはその意味をよく考える必要がある。

 仮に日本の支配者が存在するとしたとき、その支配者にとって鳩山元総理の存在が大いなる脅威であることが推察される。依然として鳩山元総理の言説が彼らにとって大いなる脅威であると考えるのが順当だ。

 安倍晋三元首相は2012年12月に首相職に返り咲き、「アベノミクス」を掲げた。その目標は「成長の実現」にあったと思われる。財政政策・金融政策・成長戦略を柱とする経済政策戦略を「アベノミクス」と称した。

 しかし、日本経済はまったく成長しなかった。アベノミクスの下で実現したのは企業利益の拡大だけだった。経済全体は成長しなかった。

 しかし、企業利益だけは激増した。法人企業の当期純利益(財務省法人企業統計)は2012年から2017年までの5年間に2.4倍に拡大した。他方、経済成長はゼロ水準を継続した。経済が成長しないのに企業利益が倍増することが意味することは何か。

 それは労働者分配所得の減少だ。厚労省公表データによると、労働者一人当たりの実質賃金指数は2012年から2022年前の10年間に5.9%も減少した。労働者の実質賃金は減少し続けたのである。こうしてみると、安倍内閣が掲げた「成長戦略」とは「大企業利益の成長戦略」、「労働者不利益の成長戦略」だったということになる。

※続きは2月4日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「溢れ出る涙が止まらなかった」で。


▼関連リンク
植草一秀の『知られざる真実』

関連記事