患者が安心できる地域医療を目指す
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(医)周友会 副理事長 岡田 勢聿
学園経営を支えた福岡経済人との出会い
福岡市とその近郊、および山口県で医療施設を経営する医療法人周友会副理事長の岡田勢聿氏。将来はさらに病院を増やし、福岡市に総ベッド数1,000床を構えたいと意欲を見せる。ただし、医療法人ではなく、社会医療法人としてだ。
「社会医療法人化して大学から力ある医師を呼び、しっかりと連携させて、地域に根差した病院にする。これからは、1人の医師が病院をグリップするようではいけない」と岡田氏は語る。さらに病院数が全国トップレベルの福岡市の状況を見て、「これからは病院に対する行政指導も厳しくなり、本当に必要とされる医療機関以外は淘汰されていくだろう」とも指摘する。医療に対する熱意を人一倍持つ岡田氏が、病院経営に関わるようになったのは約10年前。しかしその前に約25年前から作業療法士として医療現場で脳障害や発達障害児の教育に携わり始めたという前歴がある。『患者に寄り添った』現場であれば、ただ診るだけの医師より実績がある。
大学卒業後、麻生グループに営業職として入社したものの、飯塚病院でリハビリ現場を見て「医療こそが天職」と閃き、速攻で退職。自閉症に対するボランティア活動を行う傍ら川崎リハビリテーション学院に入学し、作業療法士としての資格を取った。その後、病院で脳卒中患者らの機能回復訓練に携わり34歳で独立。学習障害(今の発達障害)児を対象とした教育施設「知徳学園」を設立した。
この分野では九州初の私設教育施設として注目を集めた知徳学園には、300人以上の子どもたちが入園したが、その多くは母子家庭などで月謝の支払いが滞り、金繰りは難航した。しかし、岡田氏の損得勘定抜きの構えに理解を示す福岡経済界の人々から経済的な支援があり、苦しいながらも事業を発展させてきた。「ご恩は今もこれからも、決して忘れない」と岡田氏は言う。その後、学園は解散したが、岡田氏は紆余曲折がありながらも、介護福祉や健食通販などの健康サービス産業の道を歩み続けた。そして2005年、山口県の医療法人周友会から病院経営への誘いを受け、晴れて医療関係に携わることとなる。現在は、真に患者と向き合える地域医療の構築を目指す病院経営者として腕を振るう。「食べるためにやってきたのではない」―理想的な医療介護の実現を追求して突き進んできた結果が、今の姿だ。
最終的にものを言うのは医師の人柄
「医師が診療的な部分で評価されるのは当たり前のこと。それ以外の部分は、結局人柄がものを言う」(岡田氏)として、各病院長の人選には全力を注ぐ。病弱な少年期を病院で過ごし、社会に出てからも己の不調を隠しながら介護や教育に専念してきた岡田氏にとって、病院とは患者と医師が良い関係を結び、安心して治療を受けられる場であることはごく当然のことだ。しかし、理想に適う病院にはなかなかお目にかかれない。岡田氏の胸には今も、がん末期を迎えた知人が闘病生活を送った病院の冷ややかな態度が苦々しく残る。
「現場の忙しさ、人手不足で医療従事者にストレスが溜まり、その捌け口を患者に向けていた。人間だからストレスも溜まると言い訳するが、それを自分たちの問題として改善できないのなら、医療従事者の資格はない」(岡田氏)。資格がない医師に人の命は預けられない。
地域に根差した医療機関をつくるには、医療現場を熟知しつつも中立的な立場で助言ができる存在が必要だ。過去、真剣に障害児たちの社会復帰に身を投じてきた岡田氏には、その資格がある。
■INFORMATION
(医)周友会
理事長:高山 成吉
所在地:福岡市中央区赤坂1-14-22 センチュリー赤坂門ビル6F(連絡先)
TEL:092-715-4244<プロフィール>
岡田 勢聿(おかだ せいいち)
1960年生まれ。作業療法士として患者と向き合ってきた経験を生かし、現在、徳山病院(山口県)、医療法人悠志会パークサイド子どものこころクリニック(福岡市)、医療法人樹心会メディカルケアクリニック(福岡市)、医療法人有田病院(糸島市)の経営に携わる。関連キーワード
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