盛山文科大臣が更迭されないのは元岸田派のため?
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推薦確認書へのサインなど統一教会とのズブズブの関係が明らかになった盛山正仁・文科大臣だが、16日になってもいまだに更迭されないのは「岸田派だったからではないか」との疑いが強まっている。2月9日の立憲民主党の泉健太代表会見で関西テレビの記者が「なかなか更迭にならない理由の1つとして我々邪推してしまうのが『やっぱり岸田派だからね』と思ってしまうが、このへんはどのように見ているのか」と聞くと、泉代表はこう答えた。
「岸田派だからではないか」「もう人材が枯渇しているし、組閣ができない状況が目に見えているので、辞めさせられないのが実態ではないか。自民党、岸田政権は資格も能力もないということだ」。
ただ岸田首相が盛山大臣を擁護する気持ちは分からないでもない。岸田派の国会議員を増やすために汗をかいてきたからだ。NETIB-Newsでも「僅差の長崎4区補選、世襲隠しの弔い合戦演出作戦は成功するか(前)・(後)」(2023年10月13日、14日)で紹介した「衆院長崎4区補選(2023年10月23日投開票)」で盛山大臣は現地に入り、当選後に岸田派に入った金子容三衆院議員(当時は候補者)の応援演説をしていたのだ。
内容は定番の地元への利益誘導。まず「来週20日の金曜日には臨時国会が召集され、補正予算案の審議が進んでいくことになる」と切り出し、「10月末をメドにして経済対策を決定、補正予算案というかたちでまとめて多分、来月の中旬位に国会に提出されると思う」と続けた後、金子候補と絡めて次のように支持を呼び掛けたのだ。
「予算案を通していくことを通して、この長崎4区、日本を活性化し、力強く前に進めていくことにつながるわけです。そのためにも、岸田政権を支えていただくためにも金子容三候補がぜひとも必要です。
今日、ここにおられます山本(啓介)参院議員、古賀友一郎参院議員を含めまして私たちは、俗にいう岸田派、宏池会に所属している議員です。金子先生(候補)の父親の金子原二郎先生も我々の宏池会という政策集団に所属をしておられました。金子容三先生(候補)も当選の暁には、わが宏池会にお越しいただけるのではないかと大変強く期待をしているところです。皆さま方のお力で、金子先生が衆議院で議席を得るということ、これ自体が岸田政権、今の政権を力強く支えるということにつながるわけでありまして、それがひいてはこの長崎の、長崎4区の皆様方の生活に発展につながっていくことになります。何卒、この金子、金子候補にお力を頂戴できますよう心からお願いを申し上げます。何卒、よろしくお願いします」
自民党の北村誠吾・元地方創生大臣の死去にともなう与野党激突の長崎4区補選は、立憲民主党の末次精一・前衆院議員(社民推薦)と自民公認で公明推薦の金子氏との一騎打ちで、岸田政権の命運を左右すると注目されていた。岸田首相もラストサンデーに現地入り、同日には木原稔防衛大臣から自衛隊政治利用発言が飛び出すなど(10月31日「木原防衛相の自衛隊政治利用発言──長崎4区・金子陣営は無法集団か?」参照)、形振り構わぬ“全力投球”の選挙戦を展開していたのだ。そんな天下分け目の決戦で貢献した盛山大臣を何としても守りたい──そんな岸田首相の心情が透けてみえるのだ。
辞任ドミノを防ぎたい魂胆も見え見えだ。同じく岸田派だった林芳正・官房長官も統一教会との関係が発覚、推薦確認書へのサインは否定したものの、教団幹部との集合写真が報じられた。盛山大臣辞任となれば官房長官にも連鎖して、岸田政権が瓦解状態に至りかねない。こうした事態を避けたいという保身の論理にしか見えないのだ。
しかし、こうした岸田政権の姿勢に対して批判が噴出している。れいわ新選組の櫛渕万里共同代表は2月9日の会見で、自民党と統一教会との関係を明らかにする「特別調査委員会」を設置すべきと訴えた。私が「盛山大臣に加えて林官房長官の話が出たので、改めて設置を求める考えはないのか」と聞いたときのことだ。
「私たちが『特別調査委員会を開け』と言ったのは一昨年の臨時国会。ですから今国会でももちろん必要に応じて言っていくし、盛山大臣は解散命令請求を出した責任者ではないか。その責任者が支援を受けていた。こんな漫画みたいな大臣はいないのではないか。任命責任を問われて当然だ。そのことを野党第一党が先頭を切ってすべての野党に声をかけ、当然、自民党にも声をかけ、『これは日本の政治そのものが侵されているのだ。壊れているのだ。威信にかかわることなのだ』ということで特別委員会も設置を求めることは主張していきたいと思う」
最新の週刊新潮2月22日号(2月15日発売)には、「『岸田首相』と『旧統一教会』の”接点”」と銘打って岸田首相が、旧統一教会の関連イベント「ILC(国際指導者会議)」の冊子を手に微笑む写真を公開した。首相とのズブズブの関係が改めて暴露された今、れいわ提案の「特別調査委員会」設置を野党が勝ち取れるのか否かが注目される。
【ジャーナリスト/横田 一】
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