2024年12月22日( 日 )

新札対応ほかパーキング事業の課題から機会創出

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セイワパーク(株)
代表取締役社長 清家 政彦 氏

セイワパーク(株) 代表取締役社長 清家 政彦 氏

 新札発行やキャッシュレス化など、駐車場ビジネスにも変化が起きている。福岡を代表する駐車場の運営管理会社であるセイワパーク(株)の清家政彦社長に話を聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 専務取締役 児玉 崇)

コロナ禍を越え、新たな課題・新札

 モータリゼーションの発達にともない、自動車と切っても切れない存在となった駐車場。自動車が人々の暮らしと深く結びついていることから、駐車場業界も社会情勢の変化の影響を受けてきた。コロナ禍では、人の動きや経済活動が停滞した影響から、駐車場業界も苦境の時期を迎えた。コロナ禍が収束し、人々の動きが活発になった現在、飲食業などサービス業が潤い、その波及効果は駐車場ビジネスにもおよび、セイワパークをはじめとする駐車場業界の業績も回復傾向にあるという。

 ただ、「コロナ禍からの回復以前に、我々の業界は成熟産業であり、今後、大きな成長を期待できないことが何よりの問題点。山積する課題に対応しながら、業務の効率化や新たな取り組みを模索することで、競争力を高め続けることが大切」と清家政彦社長は話す。課題の1つが、今年7月に予定されている新札発行への対応だ。駐車場に設置している精算機を新札対応にするためには、莫大なコストがかかるからだ。

 こういった課題に対し、セイワパークは決済のフルキャッシュレス化を進めることで対応する。福岡・九州の駐車場運営会社としてはいち早く、2023年6月からはスマートフォンアプリ「パーキングペイ」による決済を導入。「売上の減少要因になるのではないかと懸念していましたが、ふたを開けてみると、フルキャッシュレス化した駐車場の売上は以前とほぼ変わりませんでした。一方、アプリ決済では精算機を必要としないため、新札に対応しなくても済むことから、集金の手間やお札の詰まりといったクレーム対応が減り、効率化のメリットが高いことが確認できました」(清家社長)という。

精算機不要で、狭小地にメリット

 フルキャッシュレス化とアプリ決済には、駐車台数が少ない小ロット駐車場も展開しやすくなるというメリットもある。精算機の設置・管理コストから採算が困難で、開業に二の足を踏んでいた小ロット駐車場でも、アプリ決済の導入により自社で土地を購入、あるいは借りることで事業を行えるようになっているという。そして、アプリを利用することで、他サービスとの協力体制構築にもつながり、ビジネスに広がりが出始めたようで、「追随する会社が出てくるようになれば、よりアプリ経済圏のようなものを構築できるのではないかと期待しています」(同)とのことだ。

 このほか、都心部の駐車場料金が高騰していることを受け、パークアンドライドへの対応にも注力しており、同社の強みの1つである自走式(立体)駐車場事業の強化も併せて進めている。同事業では防耐火認定(国土交通大臣)の自走式駐車場の建設・運営を行っており、同業他社との連携も進んでいるようだ。

 近い将来、自動運転が普及すれば、自動車そのものやその活用方法も大きく変わることが見込まれる。「スマートフォンアプリやEV充電、運転アシスト、車内エンターテインメントなどがセットとなって、自動車にイノベーションが起き、それは駐車場業界にもさらなる変化を強いるでしょう。ただ、そういった変化に対しては新たなサービスを生み出し、同業他社との協力体制を密にすることで常に変化に対応することなどで、さらに競争力のある企業となるべく取り組んでまいります」(清家社長)と意気込みを語ってくれた。

【田中 直輝】


<COMPANY INFORMATION>
代 表:清家 政彦
所在地:福岡市博多区東比恵2-1-3
設 立:1978年2月
資本金:5,000万円
TEL :092-474-8000
URL :https://www.seiwapark.co.jp


<プロフィール>
清家 政彦
(せいけ・まさひこ)
1971年4月25日生。福岡県太宰府市出身。立正大学経済学部卒業後、(株)山善勤務を経て、99年にセイワシステム(株)(現・セイワパーク(株))に入社。2008年6月、同社代表取締役社長に就任。趣味はマラソン。

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