2024年12月22日( 日 )

【BIS論壇 No.437】谷口 誠大使さようなら

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
 今回は3月31日の記事を紹介する。

 本日3月31日はBIS名誉顧問として20年近く、国際経済、政治、教育に関してご指導をいただいた故・谷口誠元国連大使、OECD事務次長、国連貿易開発会議議長、元早稲田大学大学院教授、岩手県立大学学長の94歳の誕生日である。

 今年の誕生日を祝い、データ・マックス社の恒例の谷口大使、筆者の本年の世界政治、経済対談を六本木の谷口邸で行った後、いつものBIS代表が94歳の誕生日をお祝いするはずであった。だが、谷口誠大使急逝で実行できなくなったことは誠に慙愧に耐えない。

 昨3月30日、長男の谷口建氏(日銀勤務)主催で都内のホテルで「しのぶ会」が開催された。外務省、国連、および大学関係者を中心に約50名が参加。在りし日の谷口誠大使をしのんだ。友人代表として大和田元国連大使、OECD大使、ハーグ国際司法裁判所判事、国連関係で明石元国連事務次長、岩手県立大学関係で増田寛也元岩手県知事、現日本郵政社長などが弔辞を述べられた。

谷口誠元国連大使
谷口 誠 元国連大使

    故・谷口誠大使は大阪富田林高校を経て一橋大学に入学。大学院で経済学を専攻。たまたま一橋大学に講演に来られた英国の世界的な経済学者ロビンソン教授の目に留まり、英国ケンブリッジ大学への留学を勧められ、同大学でロビンソン教授のご指導の下、さらに経済学の研鑚に励まれた。卒業後、外務省に入省。国連課長などの要職を経て、我が国経済外交の第一人者として、国連全権大使を務められた。アジア代表として国連貿易開発会議議長として活躍。またアジア初のOECD(経済協力開発機構)事務次長としてパリで長年にわたり、途上国を代表し獅子奮迅の活躍をされた。

 後年、私淑されていた新渡戸稲造の研究会「新渡戸国際塾」を岩手県盛岡市に創設。とくに若者の国際教育に尽力された。さらに北東アジア研究交流ネット理事長、桜美林大学アジア・ユーラシア研究所理事長として念願のアジア共同体構築研究に尽力された。

 講演会にも積極的に参加され、いつも一番前の席に陣取り、一番に質問に立ち、毎回大きな声で質問されていたのが強く印象に残っている。

 ご趣味は歌で、興に乗るとイタリア語でお得意の「オーソレミオ」を声高らかにうたわれたのを今でも昨日のことのようにありありと思い出す。昨年12月12日の日本記者クラブでのBIS忘年会でのご講演、本年1月7日に新年のお祝いのお電話をいただいたのが最後となった。BISを代表し、心よりご冥福をお祈りする次第である。

 谷口誠大使、安らかにお休みください。

合掌


<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)

 鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)

関連記事