主権者には支持されていない安倍暴政の構造
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NetIBでは、政治経済学者の植草一秀氏のブログ記事から一部を抜粋して紹介する。今回は、民主党政権の誕生から現在の安倍政権に至るまでを振り返り、現状を打破し、三つの国政選挙に主権者勢力が3連勝することが必要とした10月20日付の記事を紹介する。
日本政治を刷新するには国会の議席構成を変えることが必要不可欠である。安倍政権が暴走を続けている理由は、この政権が衆参両院で過半数議席を占有していることにある。とりわけ衆議院では議席総数の3分の2以上を占有しているため、参議院で議案が否決されても衆議院の再可決で可決成立させることができる。
2014年12月総選挙で、自民党に投票した主権者は全体のわずか17.4%に過ぎなかった(比例代表)。公明党を加えても絶対得票率は24.7%に過ぎなかった。自民党に投票した主権者は6人に1人、自公を合わせても投票した主権者は4人に1人しかいなかった。したがって、安倍政権は主権者多数に支持されている状況からは程遠いのだが、それでも国会議席の多数を占有することの意味はあまりにも重大である。
鳩山由紀夫政権が樹立された2009年8月総選挙での、鳩山民主党の絶対得票率は29.1%だった。14年の自公得票率よりもはるかに高い得票率を得た政権だった。この政権が2010年7月の参院選で勝利を重ねていれば、日本政治史はまったく違った様相を示していた。古い、既得権益が支配する日本政治が打破され、主権者のための政治が実現したはずである。
だからこそ、鳩山政権は日本の既得権勢力から激しい攻撃を受け続けた。日本の既得権勢力とは言うまでもない。米・官・業・政・電の悪徳ペンタゴンである。悪徳ペンタゴンは既得権益のための政治が破壊されることを阻止するため、文字通り、「目的のためには手段を選ばない」卑劣な政治謀略工作を展開し続けた。
小沢一郎氏に対する政治謀略事案であった「西松事件」が事実無根の冤罪ねつ造事案であることが白日の下に晒されると、彼らは、より悪質な冤罪ねつ造事案である「陸山会事件」を創作して、小沢一郎氏の政治生命を断ち切ろうとした。鳩山由紀夫首相に対しては、「故人献金」問題をてこにして、激しい攻撃を仕掛けたのである。
さらに、鳩山首相が目指した普天間の県外、国外移設を、民主党内に潜伏させていた既得権益派閣僚、対米隷属閣僚を使って木っ端微塵に破壊したのである。暴虐の限りを尽くした政治謀略攻撃によって、鳩山政権はわずか8ヵ月半の短命で破壊されたのである。
米国傀儡政権として樹立された菅直人政権は、普天間基地建設推進、消費税増税推進の旗を掲げて、2010年7月参院選における民主党大敗を導いた。この参院選を受けて、民主党代表は小沢一郎氏に交代し、小沢一郎政権が樹立されるはずであったが、2010年9月14日実施の民主党代表選では、史上空前の不正選挙が実行され、菅直人政権の続投をごり押ししてしまったのだと推察されている。
後継の野田佳彦政権は菅直人政権の基本属性をそのまま継承した政権だった。対米隷属、財務省支配を基本構造とする野田佳彦政権はTPP推進、原発再稼働、消費税増税、辺野古基地建設推進の旗を振ったのである。そして、2012年12月に自爆解散を挙行した。この自爆解散の目的は、1.小沢新党の殲滅、2.安倍晋三自民党への大政奉還であったと判断できる。日本の既得権勢力は、民主党の良心部分が分離独立した小沢新党が拡大することに最大の恐怖を感じたのである。
野田自爆解散によって政権を獲得した安倍晋三政権は、2013年7月参院選に勝利して、衆参両院での多数議席確保に成功した。この参院選勝利は、メディアによる「アベノミクス絶賛」と「ねじれ解消推進キャンペーン」よってもたらされたものであった。私は、参院選後の日本が地獄に引きずる込まれることを警告する『アベノリスク』(講談社)を上梓したが、戦略的に仕組まれた「ねじれ解消」の流れを止めることはできなかった。そして、いま、安倍政権は4分の1の主権者にしか直接支持を受けていないにもかかわらず、日本の根幹を破壊する暴政を展開している。
この現状を打破しなければ、日本の未来が暗黒に転落することは疑いようがない。そのためには、選挙を通じて国会の議席構成を転換することが必要であるが、本格的な日本政治刷新には4年の時間がかかることを銘記しておかねばならない。2016年と2019年の参院選。そして、2018年までに必ず実施されることになる衆院選の三つの国政選挙に主権者勢力が3連勝することが必要である。そのための、具体的な行動計画を早急に詰めてゆく必要がある。
※続きは10月20日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」第1272号「安倍政権打倒・日本政治刷新を着実に実行する」で。
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