2024年11月22日( 金 )

映画『食の安全を守る人々』~農薬害と有機食の大切さ伝え(後)

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子孫を守る有機無償給食、「必ず実現する」

 この4月14日のイベントでは、上映後、山田正彦氏による講演会が30分行われた。その骨子は次の通り。

 黒田先生がおっしゃっていたように、グリホサートは孫、ひ孫に影響が出てくる可能性がある。実際、胎児が小さくなる現象が報告されている。ゼン・ハニーカットさんは子どもの異変で気付いたが、グリホサートはベトナム戦争で枯れ葉剤として使われたもの。腸内の植物性の善玉菌を殺し、動物性の悪玉菌を増やす。その結果、有害物質ができて全身に回り、脳神経を冒す。

講演する山田正彦元農水相(4月14日筆者撮影)
講演する山田正彦元農水相(4月14日筆者撮影)

 ラウンドアップは小麦の収穫前にも散布されている。浸透性農薬のため、洗っても焼いても煮ても消えず、食べ物を通して身体に入って来る。私の髪の毛からも出てきた。ビールを飲むからで、ビールには輸入小麦が使われている。約7割の人の体にグリホサートが入っている。

 ネオニコチノイド系農薬は、稲作でも空中散布されている。ぜひ、「デトックス・プロジェクト・ジャパン」で検査していただきたい。ほぼ100%の人の尿から、ネオニコチノイド系農薬が検出される。

 ラウンドアップやネオニコチノイド系農薬は米国や欧州など49カ国で禁止されているが、日本では規制がない。

 ゼンさんはグリホサートが入っていると思い、パンやパスタなど小麦食をやめ有機だけを子どもたちに与えたら、4週間で劇的に症状が改善した。日本では福島・熊本のお母さんたちが検査でグリホサートが検出されたため、有機食材を食べるようにしたら、1カ月で9割の人が解毒できた。いかに有機の食べ物が大事か。

 2022年の世界の有機農業栽培面積は、前年比27%増えた。1位は豪州で49%増。インド、アルゼンチン、中国が続く。日本は92位。EUは有機栽培面積を30年までに全耕地面積の25%までに拡大する計画だが、日本は0.6%にすぎない。

 韓国のように、有機無償給食を実現したい。日本でも2年前、「全国オーガニック給食フォーラム」を開き、鎌倉市も含む41の市町村長が参加した。68のサテライト会場も設け、4,000人を結んだ。JAの組合長も7人参加した。

 有機給食にすると、食べ残しがない。鎌倉市は年に2回、有機米を給食に出している。コメはいすみ市から提供を受けている。大勢としては、給食を1カ所で集約してつくるセンター方式から自校方式に向かっている。

 韓国視察から戻った18年ごろ、無償の所は6、7校だったが、今は3割の自治体に増えた。東京都は今年中に23区すべて無償にする計画。青森は全県の小中学校ですでに無償化し、群馬は約8割の自治体で無償と聞く。鎌倉市は今のところ有料だそうだが、無償になると有機にしやすい。お母さんの負担がなくなるから。

 11月には、茨城県常陸大宮市で、「第2回全国オーガニック給食フォーラム」が開かれる。立憲と維新が中心になって、給食無償化法案をつくっている。自民党がいすみ市長を呼び、話を聞いた。自民党も「検討したい」と前向きだ。

 超党派の「オーガニック給食議連」が設立され、共同代表に川田龍平参院議員(立憲)と坂本哲志農水相が就いた。毎週集まって議論している。私たちが小さな声を挙げていけば、必ず実現する。

 有機農産物は、3割程度高く買ってもらえる。若い人の6割が離農しているが、これならやっていける。豪州のように1年で50%近く有機栽培面積を増やすのは夢でない。

DVD好評貸出/発売中

 『食の安全を守る人々』は、3万円以上で誰でも自主上映できる。24年1月9日からは、DVDの販売も始めた(個人視聴用は5,000円)。自由貿易化の拡大と食料自給率の低下が一層危惧される現在、1人でも多くの日本人に見てもらいたい。

『食の安全を守る人々』予告

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(了)

【ジャーナリスト/高橋 清隆】


<プロフィール>
高橋 清隆
(たかはし・きよたか)  
 1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』

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