2024年11月22日( 金 )

世界と日本の経済と人口の行方は?(後)

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 日本ビジネスインテリジェンス協会(BIS、中川十郎会長)より赤阪清隆元国連事務次長・元国連大使の世界情勢に関する論考を提供していただいたので共有する。

 (5)ウクライナ戦争の日本への教訓は、真剣に考えなければなりません。専門家が「想定外だった」ということが多すぎます。この戦争はいつまで続くのでしょうか?そして、どのような終わり方をするのでしょうか?「ウクライナは明日の東アジア」という岸田首相の見方は正しいのでしょうが、さて、それでは、具体的にどうするというのでしょうか?戦争が拡大して、ひょっとして第三次世界大戦が始まる恐れはないのでしょうか?(スライド21~29)

 (6)「日本を敵国が攻撃し、自分の身近な人(家族・友人・知人)に危害がおよぶ可能性があるときに、あなたは戦闘員として戦う用意がありますか?」という問いに対して、日本の18歳前後の若者のたかだか13%しか肯定的な回答をしていません。ベトナムの96%、中国の89%、エジプトの84%といった数字に比べて、なんと低い数字でしょう!(スライド30、31)この数字には、新潟の聴衆の方々もひどく驚かれたようで、「どうしたら良いのでしょうか?」とのコメントも頂戴しました。どうしたら良いのでしょうね?

 (7)日本が世界のためにできることはたくさんありますし、またそうすることを期待されているといえます。他の民主主義国との「格子状の」連携、国連安保理の改革、平和と発展のためのイニシアチブ、紛争解決のためのファシリテーター役などいっぱい考えられますが、やはり政治的なリーダーシップが必要ですね(スライド38~42)。

 (8)わたしたちは、このような世界のなかでどう生きるのが良いのでしょうか? コロナ禍の教訓は、第一に、「人生は精一杯生きるもの、貯めておくものではない」ということではないでしょうか?貯めておいたら、やってくるのは突然の人生の終焉かもしれません(スライド43)。日本の若者の多くは、もはや、野心家ではなくなっているようです。金持ちになることや、出世、世界での活躍を目指さなくなっています。代わって、両親、家族、友人との睦ましい関係が高い優先度を占めています(スライド44)。

 (9)令和4年版高齢社会白書によると、日本の高齢者の7割以上は、人生の生きがい(喜びや楽しみ)を、十分かあるいは多少感じているようです。生きがいを感じる割合が高い高齢者は次のような人とのことです。皆さんにも参考になるでしょうか?(スライド47)

●趣味をともにする、お茶や食事を一緒にするなど近所の人との付き合いをしている人
●親しくしている友人・仲間を、より多く持っている人
●ふだん外出する頻度がより多い人
●パソコンの電子メールによる家族等との連絡や、インターネットによるショッピング、SNSの利用などをしている人
●収入の伴う仕事をしたり、社会活動に参加したりしている人

 (10)世界で起きている問題の解決のために、わたしたち個人ができることには限界があります。それでも、国際情勢をフォローし、情報を集め、意見を投書やメールで広く伝え、議論し、選挙の投票に出かけ、ボランティア活動に参加するなど、少しはできることがありそうです。人生の生きがいを高めるためにも、前向きに頑張りましょう。世界三大幸福論の1つ、フランスのアランの幸福論の一節に、「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する」という言葉がありますね。そうです、意志を強くすれば目の前を明るくすることができると信じて、この「閉塞感」の漂う世の中を少しでも楽観的に見るようにしたいですね。

(了)

(前)

関連キーワード

関連記事