2024年12月12日( 木 )

韓国NO.1検索エンジン「ネイバー」の存在感(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

総務省が行政指導、資本体制の見直しは

メッセンジャーアプリ イメージ    LINEは「日本発のアプリ」だと思っている日本人が少なくないと思うが、正確にいえばLINEは、韓国企業の日本法人で開発されたメッセンジャーアプリである。

 韓国では既に「カカオトーク」というメッセンジャーアプリがあって市場を先取りしていたため、ネイバーは韓国市場をあきらめ、お隣の日本でサービスを展開せざるを得なくなったという経緯がある。「ネイバー」は日本法人を設立してアプリを開発、それにより現在のLINEが存在する。その後、LINEはヤフーと合併し、現在は「LINEヤフー」になっている。

 「LINEヤフー」の最大株主はAホールディングスという持株会社で、Aホールディングスの持ち株は、ヤフーの親会社であるソフトバンクと韓国IT大手のネイバーが半分ずつ持っている状況である。ところが昨年、システムの委託先であるネイバー子会社のシステムがサイバー攻撃を受け、51万件の個人情報が流出。日本の総務省は2度目の行政指導でネイバーとの関係見直しを求め、その是非をめぐり、日韓で話題となっている。

ネイバーとはどのような企業だったのか

 ネイバーは韓国でITブームだった1999年6月に設立された。インターネット時代が到来し、同社は独自開発した検索エンジンでインターネット検索サービスを展開。ネイバーの社名は英語の「Navigate(航海する)」と「-er(…する人)」を組み合わせた造語で、「航海人」を意味する。

 同社の検索サービスは市場での反応がよく、多くのシェアを獲得するようになった。ネイバーは現在も米Googleの攻勢に負けず、韓国内での検索エンジンシェアにおいて7割以上を誇っている。同社は検索事業を軸に成長を続け、ベンチャーブームが終息した後も生き残り、検索事業以外にも、コマース事業、コンテンツ事業、フィンテック事業などに事業を拡げ、韓国ナンバー1の総合ネット企業へと成長した。

 ネイバーを創業して一代で築き上げた人物が李海珍(イ・ヘジン)氏だ。ネイバーは韓国最大のポータルサイトを運営しており、そのなかで利用されている検索サービスは、今でも絶大な支持を得ている。検索データから顧客のニーズをうまく捉えて、コマース事業でも成功を収めている。

 ネイバーは日本のヤフーに似た企業だが、インターネットサービスが中心で、通信事業や金融事業はやっておらず、ヤフーや楽天に比べると、売上高は見劣りする。しかし、積極的に北米事業を展開したり、海外企業を買収したり、海外企業に投資をしたりと、海外展開に前向きで、5年後の世界ユーザー数10億人を目指している。

 ネイバーは昨年、年間売上高9兆6,706億ウォン、営業利益は1兆4,888億ウォンという最高記録を打ち出した。前年対比でそれぞれ17.6%、14.1%の伸長である。

 実はネイバーは日本でもウェブ検索サービスを提供していた。しかし、「Yahoo! JAPAN」に歯が立たず2005年にサービスを終了。しかし、その後、震災時に被災者が家族や友人たちと連絡を取るのに苦労しているニュースをみて、誰にでも使えるメッセンジャーアプリの提供を思いつき、LINEを開発、成功をおさめた。

(つづく)

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