新型インフル行動計画 パンデミック条約否決でも「粛々と進める」と新藤大臣(後)
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新藤大臣との一問一答
IHR付属書第2条のWHOと締約国の義務の最後には、「法律面での支援について」として、「ⅱ公衆衛生上の対応を支援するために法的・行政的処置を採用する」「ⅲこのような法的手段の実施を訓練する」の項目がある。今回の行動計画改定や、緊急事態条項を盛り込む憲法改正の動きも、こうした国際圧力を受けた国内法整備の一環ではないのか。「訓練」という言葉は、行動計画にも「実践的な訓練の実施」が見出しになるほど協調されている。
そこで、筆者は新藤大臣に尋ねた。
「今回の行動計画改定は、5月のWHO総会で採択する「パンデミック条約」と国際保健規則(IHR)改定に合わせた国内法整備の一環と理解してよいか」
新藤氏は「それはどういうこと」と逆質問してきたので概要を説明すると、「それはちょっと所管が違うんじゃないか」と首をかしげながらも、「新型コロナのまん延があって、それらを受けてこの行動計画の中身を現状に合わせたものにすると理解してください」と応じた。
筆者が「WHO総会での決議がいかなるものであろうと、これ(行動計画)はこのまま進めていくということか」とただすと、「これは粛々と進めていかなければならないと思います」と答えた。
マスクやPCR、ワクチンへの評価避け、有事への備え強調
そもそも、行動計画もパンデミック条約も、新型コロナ対応への反省から、将来のパンデミックへの備えとして策定するものであることが目的としてうたわれている。WHOも日本政府も統制が甘すぎたことが敗因とみているようだが、真相は逆ではないか。
筆者は次のように質問した。
「今回の改定はざっくりいえば、コロナ対応で課題となったものをクリアして次のパンデミックに備えるのが目的と書かれていると思う。確かに、マスク着用やソーシャルディスタンスに感染予防効果があったか疑問ですし、PCR陽性はイコール感染ではないと当時の厚労省佐原康之・医務技術総括審議官が国会で答弁しています。また、mRNAワクチンで前代未聞の副反応被害が出ていることは、厚生科学審議会で明らかにされています。新藤大臣は、コロナ対策の何が課題だったと認識されていますか」
新藤氏は、「有事に対し、どう行動すべきか、平時から準備をしていくことが重要だ」として、対策項目を6から13に増やしたことや、90ページから200ページ超に増やしたこと、国と地方、国立感染研(国立保健危機管理機構)と医療機関などとの連携、DX(デジタルトランスフォーメーション)の活用、リスクコミュニケーションなどを挙げ、「ご質問にあったような1つ1つの対策への評価は持ち合わせていない」と頬かむりした。
パブコメに19万件、賛否比率は明かさず
弁護士でジャーナリストの楊井人文(やない・ひとふみ)氏は、行動計画案に対するパブコメの応募概数と賛否どちらが多いか、それに対する大臣の受け止め、決定に向けたスケジュール感を尋ねた。
新藤氏は「約19万件のご意見を頂戴した」と回答。賛否の比率については「パブリックコメント自体が国民の賛否を問うものではなく、ご意見を広くいただく趣旨なので、その意見を考慮して国民の利益に役立てない」と述べるにとどめた。6月をめどに結果を公表し、改定案取りまとめはそれ以後になるとの考えを示した。
(了)
【ジャーナリスト/高橋清隆】
<プロフィール>
高橋清隆(たかはし・きよたか)
1964年新潟県生まれ。金沢大学大学院経済学研究科修士課程修了。『週刊金曜日』『ZAITEN』『月刊THEMIS(テーミス)』などに記事を掲載。著書に『偽装報道を見抜け!』(ナビ出版)、『亀井静香が吠える』(K&Kプレス)、『亀井静香—最後の戦いだ。』(同)、『新聞に載らなかったトンデモ投稿』(パブラボ)、『山本太郎がほえる〜野良犬の闘いが始まった』(Amazonオンデマンド)。ブログ『高橋清隆の文書館』関連キーワード
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