韓国経済、成長率の低下と輸出の低迷
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日韓ビジネスコンサルタント 劉明鎬(在日経歴20年)
2015年の韓国の経済成長率は、世界金融危機の余波で低成長を記録した09年以降、最も低い成長率になる可能性があるという予想がある。3%を割り込むだけでなく、最悪の場合には2%を割り込むことすらあり得ると、海外の専門家は警告している。現実的には2%台になるかもしれないという懸念が広がっている。
韓国銀行は、7月に15年の経済成長率予想値を初めて2%台に下げたが、最近になって、さらに下方修正をすると発表した。韓国銀行は金利を引き下げることで、それから政府の補正予算を編成するなどして、景気を刺激するためにいろいろな手を打ってきたが、経済成長率は、当初予想の3%台を下回るようになっているのが現状である。
10年以降の韓国経済成長率は、景気がいい時は、かろうじて3%前後を維持し、景気が悪化すればすぐに3%台を割り込むような状況が続いている。11年から16年まで韓国経済の成長率は、世界の平均経済成長率をも下回ることが予想されている。
韓国銀行は今月の15日に発表した「2015年~2016年の経済展望」は、内需はMERS(中東呼吸器症候群)の後遺症から徐々に抜け出し回復に向かっているが、中国の景気失速などによる影響で海外の需要が減少、輸出は伸び悩んでいるとしている。それゆえ今年の経済成長率を2.7%に下方修正することに至ったと解説した。また韓国銀行は消費者物価の予想値の上昇幅を今年は0.9%から0.7%に、来年は1.8%から1.7%に下げた。
韓国銀行の総裁は、韓国経済のリスクは中国をはじめ新興国の景気失速、アメリカの利上げがもたらす金融市場への不安、原油及び原材料の価格変動による市場の不安定など、内部要因よりも外部要因が大きいと指摘した。しかし、内需は個別消費税の引き下げ、ブラックフライディの実施など、政府の消費を刺激する政策が功を奏し、景気が回復しているし、この状況は当分の間、続くことを予想していると発表した。この日、韓国銀行の金融通貨委員会では、政策金利を1.5%に据え置くことを満場一致で採択した。一部の専門家は、アメリカの利上げが来年に先送りされたら、韓国銀行は追加的な金利引き下げを断行する可能性があると付け加えている。
アメリカのFRB(連邦準備銀行)は、世界金融政策に多大な影響を与える。各種指標がそれほど芳しくなく、雇用者数など市場の予想を下回ることによって、FRBでは結果的に金利引き上げを先送りするような決定をしたが、それによって、ドルの価値が下がりつつある。一方、ウォンはひとりでに価値が上昇し、約2週間の間に65ウォンほど上昇する効果が生まれている。ウォン高の効果は、それでなくても伸び悩んでいる輸出に悪影響を与えるのではないかと言われており、輸出関連企業では神経を尖らせている。
モルガン・スタンレーの関係者は「韓国の輸出エンジンは止まっている」といい、「構造的な問題を抱えているので、これを解決しない限り、今回の輸出低迷は長引く可能性がある」と指摘している。さらに、韓国の潜在経済成長率は5年後には1%台になるという予測までもある。潜在経済成長率とは、その国が持っている資本、人材をフルに活用した時に得られる経済成長率のこと。韓国は今まで謳歌してきた高成長率の時代に別れを告げ、新たな時代に突入しつつあるのだが、未だにそのような認識は乏しく、高成長を前提とした計画が氾濫しているのが実情である。
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