【BIS論壇No.446】日中韓首脳会談
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は5月21日の記事を紹介する。5月26~27日、ソウルで4年半ぶりに日中韓首脳会談が開催される。岸田文雄首相、李強中国首相、ユン・ソンニョル韓国大統領が参加。経済や安全保障分野などでの過度な摩擦を防ぎ、自由貿易、人的交流や経済協力など6分野の共同声明を発表するとみられる。
「日中韓サミット」は2008年から毎年、東アジアの3カ国が持ち回りで開催することになっている。だが、コロナ禍や2国間関係の悪化などもあり、19年12月中国・成都で開催以来実現されていなかった。三国間の人的交流、経済協力など下記分野を柱とする共同声明をまとめる方向で準備中とのことだ。①未来志向の協力の推進、②地域と世界への発展の役割強化、③相互の投資機会の拡大、自由、公正で透明性ある貿易と投資環境の実現、④デジタル技術の活用や知的財産権の保護、⑤食料や資源供給網の透明化、⑥スタートアップ支援 など。首脳会議では相互投資の機会拡大。3カ国とも海外からの人材・技術の呼び込みが主要な議題となるとみられる。
日本は30年に対日直接投資額を100兆円に増やす目標を掲げるというが、少子高齢化、昨今の日本経済低迷ではこの目標達成は至難ではないかと思われる。内閣府が16日発表の1~3月期国内総生産(GDP)速報値では24年のGDPは年率マイナス2%に減速。景気回復の足取りは鈍いという。
会談にあわせて経済界も参加する「日中韓ビジネスサミット」も開かれるが、ジェトロによると23年の直接投資額は日本の対中国38億2,200万ドル、対韓国はマイナス1億4,500万ドル。中国から日本への直接投資額は12億4,000万ドル。韓国からは9億1,500万ドルに。中国への外国企業の23年の直接投資は前年比8割減少とのことだ。中国で不動産市場の低迷が長引き、景気の先行きが不透明になっていることが要因とみられている。日本企業の中国投資が縮小するとの見方もある。
米国が対中貿易で対立を深め、半導体などの輸出規制を強めるなか、日韓は世界最大の貿易市場の中国との経済、貿易拡大に尽力すべきと思われる、
21世紀の世界最大の経済、貿易発展地域の東アジア、ASEANの発展に日中韓はRCEP(東アジア地域包括的経済連携)も含めて協力することが肝要と思われる。そのために鳩山政権時代に結成されソウルに本部を置く、日中韓三国協力事務局とも協力。さらにマニラのアジア開発銀行、中国が主導する「一帯一路」構想、アジアインフラ投資銀行などとも21世紀に発展するアジアを見据えて前向きに協力、対応することが日本の21世紀のGlobal Marketing上、必須であろう。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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