2024年07月16日( 火 )

【中国総領事】発展の福、友好の福をより多くの人に

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中華人民共和国駐福岡総領事
楊慶東 氏

 約4年半ぶりとなる日中韓首脳会議が5月27日、韓国ソウルで開催された。今年着任した中国駐福岡総領事の楊慶東氏より、同会議の共同宣言で示された3カ国協力に関する論考を寄稿していただいたので掲載する。

中華人民共和国駐福岡総領事 楊慶東 氏
中華人民共和国駐福岡総領事
楊慶東 氏

    過去1年、世界は激動の時期を経て、変革と試練に立ち向かったが、発展と進歩の原動力も生まれた。感染症という隔たりを超え、交流の貴重さを改めて実感する。激動する国際情勢のなか、平和を追求する決意が強まる。人類は苦楽を共に、世界各国は依存し合い、未来は私たちの手に握られることをますます多くの国や人が認識する。

 中日韓首脳会議が5月27日、4年以上ぶりにソウルで開催され、会議では第九回中日韓首脳会議共同宣言が採択された。東北アジアの国々が団結を強化し、協力を深め、地域経済の統合を推進する意志を表明した。現在の国際情勢の不安定さに安定性とポジティブなエネルギーをもたらすものであろう。

 3国は地理的に近く、経済的に深く統合され、文化的に通じ合っている。それゆえ、平和友好、共同発展、心の通じ合う隣人であることが決定づけられている。「開放と包摂、相互尊重と相互信頼、互恵と相互利益、交流と相互参考」の理念で交流すれば、3国関係は健全かつ着実に発展し、中日韓の国民、さらには世界の人々に確実な福をもたらすだろう。

 九州はアジア地域の地理的中心に位置し、古来より東北アジア地域の経済、貿易、文化の交流が盛んな場である。中国と九州との交流協力の基盤は分厚い。これからは九州の各界とともに、共同宣言に示した主要分野での互恵協力を推し進めたい。とくに以下の分野に重点を置きたい。

 (1)人的・文化的交流。佐賀県多久市の孔子廟、鹿児島県南さつま市の鑑真記念館、佐賀市の徐福長寿館は中日共通の文化シンボルであり、ますます多くの中国人観光客が九州の魅力を知り、そして足を運んだ。今年2月に九州を訪れた中国人観光客はインバウンド全体の約3分の1を占めた。首脳会議共同宣言は2025と26年を3カ国の「文化交流年」とし、そして30年までに3カ国間の人的交流を4,000万人に増やすなどの目標を掲げた。中国は人的・文化的交流を強化し、親善友好を増進し、それにより将来の3カ国協力の基盤の強化を望んでいる。

 (2)持続可能な発展。九州は低炭素社会の構築を推進しており、再生可能エネルギーの分野では先駆的な位置に立つ。そして、水素エネルギーや電池蓄電技術、産業全体の低炭素化および省エネルギーの理念などに独自の優位性をもつ。中国はグリーン・低炭素型開発、省エネと炭素削減を着実に推し進め、カーボンピークアウトとカーボンニュートラルを科学的かつ着実に推進している。中日の協力のうえで、さらに多くの「3カ国+X」多国間の協力プロジェクトを模索し、実施していく。

 (3)経済貿易協力。中国は日本だけでなく、九州の最大の貿易パートナーであり、主要な投資先である。23年、中国と九州の貿易の輸出入総額は約4兆円に達した。今年、大分県別府市は中国の大連市からバトンを受け、環黄海経済技術交流会議を開催し、地域間の協力をさらに深めていく。中国はグローバルで公平なビジネス環境を整え、経済と貿易の相互接続を深め、産業チェーンとサプライチェーンの安定性と円滑性を維持し、地域金融協力を促進するよう努める。

 (4)科学技術とイノベーション。共同声明には知的財産、公衆衛生、人工知能などの分野における交流·協力の強化が盛り込まれている。九州は先端科学技術でとくに発展しており、「ワンヘルス」などの分野の優位性が際立つ。中国の科学技術とイノベーションも多くの成果を生んでおり、電気自動車、リチウム電池、太陽光発電製品は中国輸出の新三種の神器となっている。中国は「中日韓イノベーション協力センター」を設立し、イノベーションや先端分野における協力を強め、新しい発展の原動力の育成を加速する。

 九州は古くから中日交流の玄関口であり、「民をもって官を促し、経済をもって政治を促し、九州をもって日本全国を促す」という伝統がある。九州の各界が各分野における中日友好交流・協力を積極的に推進し、利益の融合、民間の親睦、運命の結びつきのたゆまぬ増進により、地域の統合を加速させ、平和安定、発展と繁栄をもたらす新たな局面をさらに切り拓くことを期待する。

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