【BIS論壇No.449】世界の経済成長率安定
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は6月15日の記事を紹介する。世界銀行6月11日発表の最新「世界経済見通し」によれば、今年の世界経済は3年ぶりに安定するが、水準は低いとのことだ。今年の世界経済全体の成長率は2.6%と予測、前年から横ばいだ。25~26年には2.7%に上昇する。だがこれはコロナ前の10年間の平均成長率の3.1%を大きく下回る。
これは世界の人口とGDPの80%以上を占める国々の経済成長率が依然として低いことを意味する。一方、途上国経済は24年から25年にかけ平均4%成長と予測。一方、低所得国経済は23年の3.8%から24年は5%に加速する。
先進国経済は24年1.5%で前年比横ばい。25年には1.7%とわずかに上昇と予測。
地域別見通し:
東アジア・太平洋地域:24年に4.8%、25年は4.2%に減速。
ヨーロッパ・中央アジア地域:24年に3%とやや低下。25年は2.9に減速。
ラテンアメリカ・カリブ海地域:24年1.8%に減速後、25年は2.7%に上昇。
中東・北アフリカ地域:24年2.8%、25年4.2%へ上昇。
南アジア地域:24年6.2%に減速後、25年6.2%と横ばい。
サブサハラ・アフリカ:24年3.5%、25年3.9%へそれぞれ上昇。「パンデミック、戦争、インフレ、金融引き締めによる混乱から4年を経て。世界経済の成長は安定しつつあるようだ」と世界銀行関係者は予測している。「しかし、成長率は20年以前よりも低い水準にある。世界の最貧国の見通しはさらに憂慮すべきものだ。
これらの国は、厳しい債務返済額、貿易機会の制限、そして対応コストのかかる気候変動に直面している。途上国は民間投資を促し、公的債務を削減し、教育、医療、基礎インフラを改善する方法を見つけなければならない。途上国のなかでも最貧国、とくに国際開発協会(IDA)の譲許的支援的確の75カ国は国際的な支援なしにはこれを実現できない」と先進国の援助を世銀チーフエコノミスト兼上級副総裁のインダーミット・ギル氏は強調している。
今年は発展途上国の4分の1が、パンデミック前の19年よりも貧しい状況が継続すると見込んでいる。この割合は脆弱・紛争の影響下にある国では2倍になると予測。さらに途上国と先進国の所得格差が開発途上国のほぼ半数で拡大すると予測。26年までにGDPは3%増加が見込まれるが、コロナ前の10年間の平均3.8%を大きく下回り、先進国の援助が必要だとみている。民間投資を加速し、経済成長を促進するための公共投資の重要性を強く訴えている。日本政府としてもこれらの提言を十二分に参照すべきである。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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