【BIS論壇No.450】世界の経済成長率安定
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は6月19日の記事を紹介する。インテリジェンス、情報論に関し、かねて大前研一氏の理論に感銘を受けている。
かつて筆者のビジネスインテリジェンス論文で競争情報(コンペティティブ・インテリジェンス)とビジネスインテリジェンスの比較をした際、同氏の「まず自社の経営戦略を策定し、その後で競争会社の動向は参考にすればよい。競争会社の動向を気にしすぎることは問題だ」との説に感銘を受けたことを思い出す。同氏は東京工業大学で修士号、米マサチューセッツ工科大学で博士号を取得。日立製作所、米マッキンゼーを経て、現在、ビジネス・ブレークスルー大学学長として活躍しておられる。 同氏の『第4の波』、『経済参謀』、『企業参謀』、『日本の論点』、『世界の潮流』シリーズは有名で、情報論の観点からも得るところ大なるものがある。工学的な緻密な情勢分析は的を得ており、未来予想も的確である。近刊『世界の潮流 2024~25』(プレシデント社―24年5月刊)の世界情勢予測は的確かつ有益で得るところ大なるものあり、感銘を受けた。
一方、ユニークな視座からの情報論を展開しておられ、その情報分析力にかねがね注目している堤未果さんの近著『国民の違和感は9割正しい』PHP新書 (24年3月刊)とともに一読すべき名著である。大前研一氏は中東情勢、ウクライナ侵攻、中国経済危機などに関し「マッドマン狂人のフェイク情報を見破れ」と強調。「組織化したマッドマンたちはフェイク(偽)情報を発信して、自分たちを正当化したり、都合のわるい事実を隠蔽したりしようとしている。」「これからの時代に必要なのは、そのようなフェイク情報に惑わされないように正しいものの見方や考え方を身に着けることである。」と力説。SNSなどでの情報氾濫時代に、真のインテリジェンスの分析力、判断力をBIS会員各位が身につけるためにも、本書は一読の価値がある。本書の概要は下記で、一読し、正確な情報を身に着けられることを勧める次第だ。1章、混迷を深める世界情勢~独裁化したマッドマンと止まらない右傾化。2章、リセッション入りする世界経済~過剰債務とインフレが回復を阻害する。3章、凋落する日本~GDP世界第4位からの回復をするための処方せん。4章、中国の最新動向~孤立化する習 近平のジレンマ。5章、2024年の世界はどうなるか~日本が今すぐ取り組むべき課題。 各位の味読を期待する。
日本のみならず米国に関してもすばらしい情報収集力と並外れた鋭い分析力を発揮しインテリジェンス関連の名著を出版しておられる堤未果さんの『国民の違和感は9割正しい』も近来まれにみる名著だ。「裏金、新NISA、大増税・・カラクリを知り、身を守れ」と力説。
なかでも2章の『ガザにある宝の山をみんな狙っている』でガザ沖36㎞、水深603mのガザマリン油田の約200億m3の天然ガス田が今回の紛争の背景だとの指摘(66ぺージ)は堤未果さんの並外れた情報収集力を証している。同書もぜひ味読されたい。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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