韓国の「ロボット密度」は世界一~技術力は課題山積(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏ロボットの採用が増えている
日常生活においてロボットを良く見かけるようになった。自動車工場など精度の高い作業が要求される製造現場では、ロボットはすでに活用されていたが、最近サービス業などにおいても、調理された料理を運んでくれるロボットなどをよく見かけるようになった。
ロボットは物流、配送、接客、調理など、その活用範囲がどんどんひろがっている。ロボットは生産性を高めてくれるだけでなく、高齢化が進んで人手が足りなくなった際の対応手段としても有効である。
また、ロボット産業自体が今後成長が予見される新しい成長産業なので、なおさらロボット産業に対する期待が高まっている。とくに、先端ロボットは防衛産業、宇宙航空産業などに欠かせず、各国はロボット産業の育成に力を入れている。
そのような状況下、韓国は産業用ロボットの「ロボット密度」において世界1位となった。ロボット密度とは、労働者1万人あたりのロボットの設置台数を指す。国際ロボット連盟の統計によると、2022年の韓国のロボット密度は1,012台で、世界平均である151台の約7倍に達する。とくに自動車工場でのロボット密度が高く、産業用ロボット平均の約3倍に達する。
韓国では自動車工場の労働組合によるストが頻繁で、それを避けるためロボットの導入が進んだからだ。ロボット産業が未来の成長産業として浮上するなか、韓国でも斗三ロボティクス、HDロボティクスなどがロボット製造業に進出した。
産業用ロボットと協調ロボット
一方、昨年導入されたロボット55万3,000台のなかで、産業用ロボットは49万8,000台で、協調ロボットは5万5,000台であることが調査で明らかになった。協調ロボットの割合は単年度では全体の約10%に過ぎないので、この数字だけを見ると、協調ロボットの割合は小さく見える。しかし、今後もっと成長が予想されるのは協調ロボットのようだ。今後いろいろなサービスに協調ロボットの活躍が期待されているからだ。
世界市場の調査企業であるマーケッツアンドマーケッツ(markets and markets)によると、世界の協調ロボットの市場規模は、2025年50億8,849万ドルに達するという。成長率は年平均43.5%になるので、大きな成長である。
現在、世界の協調ロボット市場はデンマーク企業であるユニバーサルロボット(Universal Robots)が40%を占めていて、その次に日本のファナック(FANUC)、台湾のテックマン(Techman)などが競合している。また、韓国の協調ロボットの分野は減速機、サーボモーターなどのコア部品を日本やドイツなどから輸入しているという。
韓国は世界一、ロボット密度が高い国であるにも関わらず、ロボット製造においての競争力は日本、米国、中国、ドイツなどの国に比べて、技術力が遅れているようだ。
産業用ロボットにおいては、世界的に日本のファナック、ドイツのKUKA、スイスのABBなどが市場を支配しており、なかなか後発企業の参入は難しいようだ。協調ロボットが進んでいる米国や産業用ロボットが進んでいる日本やドイツに比べると、韓国の技術力はその80~85%の水準であるという。ちなみに、生産に占める韓国の市場シェアは4.7%に過ぎず、日本(44.7%)、中国(16.2%)、ドイツ(4.8%)と比べると、差は大きい。
(つづく)
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