韓国の「ロボット密度」は世界一~技術力は課題山積(後)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏中国の躍進がすごい
中国の産業用ロボットの設置台数は2022年29万258台で、世界のロボットの設置台数(55万3,052台)の半分以上を占めている。中国は2013年にロボットの設置台数3万6,600台で日本を抜いて世界一になって以来、10年間世界1位の座をキープしている。
設置台数だけでなく、中国はロボットの製造においても中国政府主導でロボット産業を育成してきた。ロボットの製造をロボットが担当し、大量に製造されているので、中国製のロボットは価格が安く、世界の脅威となっている。また、昨年末基準で世界のライトハウス工場153カ所のなかで中国工場は62社も入っていて世界最多であった。ライトハウス工場とは、自動車や家電などを生産する自動化された最先端工場のことを指す。一方、韓国のライトハウス工場は5社しかない。
中国では車載電池など先端生産ラインではロボットが作業をすることでコストを下げている。中国で急速にロボット化が進展した背景にはいくつかの理由がある。中国でも高齢化が進んでいるし、賃金が上昇していて産業用ロボットを活用することで、生産性を高めると同時に、コスト削減を狙っている。
2つ目にEV車載電池、バイオ、航空宇宙などの先端産業では、精度の高いロボットの需要が増加している。とくに電気自動車の生産ラインではロボットが数秒で1台の車を製造している。3つ目には、コロナ禍を経ることによって、急速にロボット化が進んだ。さらに、ロボットの費用が安くなったことで、導入が増えたことはいうまでもない。
部品は海外に依存しているのが現状
韓国のロボット産業が抱えている課題は、高精密制御部品、ロボット用ソフトウェアなどのコア技術をまだ海外に依存していることだ。ロボットはモーターと減速機、制御器などのコア部品が全体原価の56.3%を占める。このような部品はほとんど日本や中国、ドイツなどから輸入する。世界のサプライチェーンが崩れると、部品の調達に問題が発生しかねない。
部品のなかでも減速機の自給率が35.8%と一番低く、モーターの自給率は38.8%、センサーは42.5%、制御器は47.9%に過ぎない。とくに、高精密減速機とサーボモーターは日本企業が世界シェアをほとんど握っている。減速機の70%は日本から購入している。モーターも似たような状況で、安川電機、パナソニック、ファナックなどが世界シェアを掌握している。
しかし、製造業の生産性を上げるうえで、今後ロボット産業は重要な役割を担う。製造業の基盤をもっている韓国では、今後ロボットの需要が多く、ロボットの生産を韓国ですることで、新しい産業を育成しようと韓国政府も注視している。しかし、中国企業の躍進が目覚ましく、それに価格も安く、ロボット産業においても、中国企業の優位が目立つようになってきた。
(つづく)
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