【BIS論壇No.454】天正遣欧少年使節
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NetIB-Newsでは、日本ビジネスインテリジェンス協会理事長・中川十郎氏の「BIS論壇」を掲載している。
今回は8月4日の記事を紹介する。BIS顧問、小松電器産業、人間自然科学研究所、小松昭夫社長・会長にご紹介いただいた芸術監督・石多エドワードさんに招待され、8月3日、「なかのZERO大ホール」で開催の首記、少年使節渡欧440周年記念『忘れられた少年、天正遣欧少年使節』オペラにBIS有志と参加した。
エドワードさん総監督・指揮の作品であるこの演劇はすばらしいもので、強い感銘を受けた。このオペラは1990年の初演以来、国内外で160回以上上演。今回は東京公演の後、11月に佐世保で公演後、12月1日~8日 ポルトガルで巡演が行われる。
天正少年たちが渡欧したルートは1582年2月20日、長崎港を出港、マカオ、マラッカ経由で、インドのゴアに83年12月20日、ポルトガル・リスボンに84年8月10日、スペインのマドリードに11月24日到着。最終地ローマには長崎出発から3年後の1585年3月に到着。440年前の日本からの渡欧がいかに大変だったかを物語っている。
8年の苦難の欧州滞在の後、帰国した日本で4人の1人、中浦ジュリアンがキリスト教弾圧で長崎で殉教。26聖人の1人としてあがめられている。
この少年使節派遣の発端は鹿児島出身のヤジロウにインド・ゴアで鹿児島でのキリスト教布教を勧められたフランシスコ・ザビエルが1549年鹿児島を訪問、鹿児島で初めて日本での布教を始めたが、そのザビエルのすすめで実現したものという。
筆者の出身校、ラ・サール高校はザビエル上陸の地、鹿児島市郊外の谷山にある。そこにある教会の修道院を中心に高校が創設され、筆者は3年間をこの地で過ごした。
モントリオールのラ・サール修道会から派遣されたマルセル・プティ先生が初代校長で今日のラ・サールの基礎を築かれた。鹿児島にはザビエルを記念した有名な「ザビエル教会」がある。
当時、ラ・サール高校では世界で教育制度と教育者育成学校を初めて創設したフランスのジャン=バティスト・ド・ラ・サールの精神を学ぶべく、フランス語、英語が必修であった。それに英語で「旧約聖書」「新約聖書」を学び、あわせて「倫理学」の必修講義があった。この3科目の単位を取得できねば卒業できぬ厳しい決まりであった。
筆者は商社員としてインド駐在中、イエズス会創設者の1人であり、鹿児島、およびラ・サール高校と深い関係にあるインド・ゴアのザビエルの片手がかざってある教会を訪問。
鹿児島出身のヤジロウにすすめられ、筆者の高校近くの港に上陸し、鹿児島において日本で初めてのキリスト教布教を始めたザビエルに深い祈りをささげた。このザビエルがすすめた天正遣欧少年使節団のオペラ公演にお招きいただいた台本・総監督の石多エドワード氏(作曲柴田南雄氏)に再度深甚の御礼を申し上げ、国内外におけるますますのご活躍を祈念したい。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)関連キーワード
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