2024年11月13日( 水 )

アビスパ、泥沼の6戦未勝利 福岡0−1新潟

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イメージ    アビスパの苦闘が続いている。いつにも増して厳しい日差しが降り注ぐこの夏、アビスパもまた厳しい局面に向き合っている。

 サッカーJ1リーグアビスパ福岡は17日、ホームのベスト電器スタジアムにアルビレックス新潟を迎えて第27節の試合を行った。

 アルビレックス新潟は、Jリーグでも一二を争うパスワークと連携が持ち味のチーム。しっかり握ったボールを的確につなぎながらゴールに迫る、攻撃的なチームだ。

 対するアビスパはこのところ勝ち運に恵まれず、苦しい展開が続いている。前節北海道コンサドーレ札幌戦では、後半アディショナルタイムにDF亀川諒史の芸術的なゴールで勝ち越すも、わずか3分後に同点ゴールを決められ、一度は手中におさめた勝利がするりとこぼれ落ちてしまう苦い経験を味わった。

 「今度こそ」と巻き返しを誓って迎えたホームゲームだったが、待っていたのはより厳しい現実だった。

 試合は圧倒的に新潟がボールを支配する展開でスタートする。だがこれは、選手もサポーターも想定内。アビスパの持ち味の1つは、パスをつなぎたい相手をうまく追い込んでボールを刈り取ってからのカウンター攻撃だけに、この試合も新潟がボールをもつこと自体は許容範囲内だったはずだ。

 だが、「相手を追い込む」という最初のステップにまず到達できない。GK小島享介から始まる新潟ディフェンスラインのパス回しは、アビスパ前線のFWウェリントン、FW佐藤凌我、FW紺野和也がプレッシャーをかけるよりも速く、各選手の的確な立ち位置はアビスパ守備陣による「刈り取り」を許さない。前半、新潟FW長倉幹樹やMFダニーロ・ゴメスは何度もアビスパゴール前に迫り、決定的なシュートを放つ。だが、ここでアビスパGK村上昌謙やDF宮大樹が立ちはだかり、打ち寄せる波のように繰り返される新潟の攻撃を何度も跳ね返し続けた。

 後半、アビスパはDF前嶋洋太を投入して4バックにシフト。フォーメーションを合わせることで反攻のきっかけをつかもうとしたが、先にゴールを奪ったのは新潟だった。

 49分、新潟は最後尾のDF舞行龍ジェームズが左サイドにロングパスを送る。最前線でこれを受けたMF谷口海斗は、巧みなステップでアビスパDF田代雅也をかわし、やや遠目からシュート。懸命にジャンプして飛びつくGK村上の指先をかすめ、ボールはゴールに吸い込まれた。

 アビスパの長谷部茂利監督はFWシャハブ・ザヘディを投入して攻勢を強めるが、新潟は粘り強く守ってゴールを許さない。試合はこのまま終了し、アビスパは0−1で敗北を喫した。

 見ようによっては、「試合を支配されながらも粘り強く守り、敗れはしたものの、最少失点にとどめた」ということもできるだろう。だが実際には、これまでのアビスパの強みだった「前線からのプレッシャーで相手のパスの出しどころを限定し、一気に奪って速い攻撃を仕掛ける」というスタイルをまったく出せなかった、完敗ともいえる試合だった。この状況から脱するためには何が必要なのだろうか。負傷者が多いことが響いているのか、相手チームに対策されているのか…。原因の追求、対策、さらに次の試合でどう戦うかを同時並行で行わなければならない長谷部監督の手腕が、今一度問われる事態だといえるだろう。

 これまでアビスパの歴史をことごとく塗り替えてきた長谷部監督が、この苦境を乗り越えるためにどんな答えを見せてくれるのか、注目したい。

【深水央】

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