2024年08月27日( 火 )

サムスン電子の市場シェアを脅かす中国メーカー(前)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

スマートフォン革命

スマートフォン イメージ    スマートフォンを端的に表現すると、通話機能付き“超小型パソコン”といえる。スマートフォンの登場で私たちの日常生活は劇的に変化した。自分の好きなアプリをスマートフォンに取り込めば、端末を自分に合わせてカスタマイズすることができ、生活やビジネスのさまざまな場面で活用することができる。スマートフォンがあれば、写真や動画の撮影はもちろん、知りたい情報をいつでも検索できる。その上、買い物の決済、旅行の手配やタクシーを呼ぶことができ、まさに日常生活に欠かせないツールとなった。

 このように便利なスマートフォンは世界で普及が進んでおり、全世界で年間10億台以上が販売されている。サムスン電子はスマートフォン販売において、2011年から出荷台数でシェア1位の座を守っていたが、23年にアップルに13年ぶりに首位を明け渡した。

 プレミアムフォンではアップルに大きく差を付けられているサムスンだが、低価格フォンにおいても、中国メーカーの追い上げが激しく、世界シェアを落としつつある。このような状況下、サムスン電子は1位の座を死守するため、折りたたみ式端末やAI機能搭載のスマートフォンを市場に出荷し、他社との差別化を模索するなど、販売競争が激しさを増している。

スマートフォンの世界シェア

 世界のスマートフォン市場は、コロナ禍による世界経済低迷の影響を受け、縮小傾向にあり、21年の13億5,980万台から、23年には11億6,600万台に出荷台数が減っている。このような状況下、サムスン電子の出荷台数が大きく減少している反面、アップルは出荷台数こそ頭打ちではあるものの、着実に売れ続けている。

 23年の出荷台数では、第1四半期から第3四半期(1月から9月)までは、例年通りサムスンが1位であった。しかし第4四半期(10月から12月)、アップルは昨年比11.6%増と堅調だったのに対し、サムスンは10.9%減となり、通年でシェアの逆転を許している。

 しかし、サムスン電子は24年第1四半期と第2四半期の出荷台数において、アップルを抜いて1位の座に返り咲いた。市場調査機関IDCによると、24年第1四半期の出荷台数は、1位がサムスン電子で、出荷台数6,010万台、シェア20.8%。アップルの出荷台数は、5,010万台で2位、シェア17.3%、中国のシャオミは出荷台数4,080万台、シェア14.1%で3位だった。

 サムスン電子は出荷台数で1位に返り咲いたものの、販売金額ではアップルに及ばない。さらに、中国メーカーの成長も著しい。中国国内市場ではファーウェイがシェアを伸ばしているし、トランシオン(Transsion)という中国メーカーはアフリカ市場で驚異的な成長を見せている。また、シャオミは第2四半期の出荷台数が前年同期比において27%増加するなど、中国の新興メーカーがサムスンのシェアを奪いつつある。

(つづく)

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