【トップインタビュー】「来たくなるまち」から「住みたくなるまち」へ うきは市・権藤市政スタート
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うきは市長 権藤英樹 氏
任期満了にともなう、うきは市長選挙は6月30日投開票され、無所属新人で前市議会議員・権藤英樹氏が、いずれも無所属新人の元県議・小河誠嗣氏、日本郵便社員・中島洋次郎氏を破り初当選した。新市長に就任した権藤氏に、今後の市政運営について聞いた。
(聞き手:(株)データ・マックス 代表取締役会長 児玉直)これまでの経験を市政に反映
──新市長就任、おめでとうございます。今のお気持ちを聞かせてください。
権藤英樹氏(以下、権藤) 7月15日に市長に就任しました。選挙戦では、「市議の経験と、民間で得た豊富な人脈を生かし、これからのうきはを担いたい」と強い決意をもって戦い、そのなかで、「旧態依然とした政治はやめましょう」と世代交代を訴えてきました。世代交代については髙木典雄前市長も常々話されていたことで、今回の結果は非常に身が引き締まる思いです。
地の利を生かし
企業誘致を推進──まずはどのようなことに取りかかりますか。
権藤 髙木前市長が3期12年かけて、「フルーツ王国」などうきは市のブランド化に尽力され、市外から多くの観光客の方が来訪されるようになりました。しかし、今後うきは市の人口形態を支えていくことを考えれば、「来るまち・来たくなるまち」から「住みたくなるまち」に変えていく必要があると思っています。これを大きなスローガンとして掲げ、各論的には、生産年齢人口を増やす、いわゆる子育て世代に住んでいただく場所として選ばれるまちにしなければなりません。
うきは市という土地柄、市内に住居を構え、福岡都市圏や久留米市などへの通勤や、リモートワークで自宅でも仕事ができる業種もあります。しかし、市内にも一定の産業は必要で、企業誘致なども含めて働く場所をつくることも重要だと思います。髙木前市長時代からの県の事業である工業団地新設をしっかりと進めていきます。福岡都市圏で土地がなくなり、土地需要が南下して、朝倉市や小郡市などにも倉庫や工場が新設されています。そのようななかで、うきは市の地理的な優位性も見直されています。
ただし、どういった企業で、どういうビジョンをもって、さらに地域の産業として根づいていくか、持続可能であるかなども視野に入れながら、十分に検討して工業団地事業を進めていく必要があります。やはり地域との関係性を重視し企業城下町のようなかたちで地域とともに育っていこうとする企業の誘致を優先的に進めようと考えています。工業団地の想定面積は約27haでうきは市の財政規模からすると大事業になりますが、工業団地ができそこに入った企業にしっかりとこの地域に根付いてもらえれば、雇用を含め経済循環を生む場所になると思っています。
ニーズに適った農業戦略
──農業についてはいかがでしょうか。
権藤 うきは市において農業は基幹産業です。フルーツや野菜など多くの名産品がありますが、そこに従事する人員と出荷額が担い手不足や高齢化などで低下してきています。生産年齢人口を増やすためには、どういう具体的な施策が一番良いのか、しっかりと判断していかなければなりません。
国内でも所得の格差が広がってきており二極化しているともいわれています。そういった時代の趨勢に適った施策を出していくためには、ターゲットを絞っていくべきです。髙木前市長がつくったブランドを、時代のニーズに適った商品として出していかなければならないと思います。いわゆる富裕層といわれる方々にヒットするもの、あるいは福岡市内などからマイクロツーリズムできていただく方々にヒットするものなど、ターゲットを定めて戦略を考えることが大事です。
しかし、実際は現状の生産システムおよび出荷システムで動いている方々が大半ですので、すべての方にすぐにフィットするのは難しいです。今、若い方たちを中心に付加価値のある良いものをつくり、それに見合った値段で買っていただけるようなシステムをつくっていこうと話をしています。それをどう売り込んでいくのか、私自身もトップセールスを行っていく考えです。
課題は農業の担い手不足です。解決策として、農業を継ぎたいと思ってもらうにはやはり稼げる農業にしていくのが1つ。もう1つは、あとを継がないという子どもしかおらず、自分の代で廃業するという農家も多く、ここに対して第三者承継を進めていくことだと考えます。第三者承継の過程で、たとえば市外から若い世代の所帯が入ってきて、農業をしながらお子さんを育てる、昔からある家族経営が再燃してほしいですね。協力していただける方を集めて、私がしっかりと底支えしていく体制をつくっていこうと思います。
市民の権利を大切に
──今後、うきは市をどのようなまちにしていこうとお考えでしょうか。
権藤 今回、施策の1つとして、うきは市から就学や仕事の関係で市外に出ていった方が戻ってきたくなるようなまちづくりを掲げています。生まれ育ったこのうきは市を好きだという方は多いです。福岡都市圏並みに所得を全体的に上げるのは簡単ではありませんが、少なくとも可処分所得を増やすことはできると思っています。引っ越しやここで生業を立てることへの支援、さまざまな支出を抑えるお手伝いなど積極的に行っていきたいです。とくに子育て支援を充実させたいと考えています。
これまで、市のブランド化など市外から来る人たちに視線やお金が向いていた部分を、うきは市に住む方とここで育っている方に少しシフトしようというのが、私の施策の目的の1つですので、市民に対する支援策を強力に進めてまいります。
【文・構成:内山義之】
<プロフィール>
権藤英樹(ごんどう・ひでき)
1975年11月、うきは市出身。福岡大学法学部を卒業後、外食産業、筑豊電気鉄道(株)を経て、西日本鉄道(株)に入社。2022年5月からうきは市議会議員を務め、24年7月にうきは市長に就任。▼関連記事
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