2024年11月29日( 金 )

景気減速の兆しが濃厚な世界経済(後)

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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏

中国の不動産バブルが深刻化

中国 イメージ    中国は不動産を中心にして経済成長を遂げてきたと言っても過言ではない。中国では不動産産業が全体産業の約4分の1を占める産業だった。

 債権発行が難しい中国の地方政府は、土地使用権を民間に販売して収益を上げ、それが地方政府の主な財源であった。土地が高くなればなるほど、収益が増える構造で、土地の上昇と住宅の価格は連動、中国の不動産市場は膨張を続けてきた。

 こうした不動産業界の状況が変化したのは2020年からである。20年8月、中国政府の不動産開発会社の借り入れ規制(3つのレッドライン)をきっかけに、中国の不動産市場に変調が発生した。それから4年が経過したが、不動産価格の下落になかなか歯止めがかからない。前月対比で住宅価格が下落したのは全体の94%と、14カ月連続で住宅価格の下落が続いている。ブルームバーグの報道によると、未分譲マンション数が6,000万戸ほどあるといい、深刻な状態である。また、新規着工は前年比23.2%減だったということからも、事態の深刻さがわかる。

 最近、国際通貨基金(IMF)は、「中国の不動産バブル崩壊は、過去30年間で世界最大レベル」と指摘した。中国の不動産バブル崩壊は、銀行の不良債権問題の発生、地方政府の財政悪化などの問題を引き起こす導火線となり、経済停滞への懸念から、中国から脱出する個人や企業の増加へとつながりかねない。

世界経済への影響は

 世界の経済大国1位・2位の米国と中国の景気が減速している。「米国が咳をすると、韓国は風邪をひく」という表現があるほど、韓国は対外依存度が高い経済構造である。

 とくに中国とは経済的に密接につながっている。米国の半導体規制で、中国はそれを解決するため、前もって多めに韓国から半導体を購入しており、その結果、韓国の半導体輸出が現在大きく伸びているという側面がある。しかし、米国と中国の景気が本格的に減速すると、世界的な影響は避けられないだろう。

 韓国も米国や中国以外の市場の開拓と、景気減速に備えた対応策を今から講じておく必要がある。中国の不動産バブル崩壊は、その規模において、日本の不動産バブルとは比較にならないほど規模が大きい。どのような嵐が世界経済に吹き荒れるかを正確に予測するのは難しい。しかし、景気減速の影が忍び寄っていることは間違いなく、警戒が必要である。

(了)

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