創業以来最大の危機を迎えたインテル(前)
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日韓ビジネスコンサルタント
劉明鎬 氏株価暴落で「インテルショック」
1992年から2017年まで、世界半導体売上高ランキング1位の座に君臨してきた米インテルが苦境に陥っている。半導体といえば「インテル」というほど、「インテル」はパソコンの頭脳に当たるCPUの“絶対王者”であった。しかし、インテルに創業以来最大の危機が訪れている。はたしてインテルは、その危機を乗り越えることができるだろうか。
インテルの株価が8月2日の米株式市場で前日終値に比べ約26%下落し、半導体業界に衝撃が走った。同社の24年第2四半期の決算発表を見ると、最終損失は16億1,000万ドルで、第一四半期の12億ドルの損失より赤字額が拡大。また、ファウンドリー事業の営業損失として28億3,000万ドルを計上した。
ファウンドリー事業への先行投資がかさむなか、顧客の獲得はできず、赤字額が膨らんだ結果である。インテルの株価は年初来60%近く値を下げ、1株20.1ドルとなり、13年以来の最安値を記録した。インテルの時価総額は約858億ドルとなり、20年1月の時価総額である2,920億ドルに比べると、3分の1以下に縮小した。
今年の上半期だけで53億ドルの赤字額を記録したインテルは、100億ドル規模のコスト削減に向け、全従業員の15%にあたる1万5,000人あまりを削減すると発表した。今回のインテルの株価急落は、エヌビディアを含めた半導体銘柄の下落を促し、株価全体に影響を与えた可能性も否定できない。インテルの業績悪化を受けて、同社は米国を代表する株価指数であるダウ工業株30種平均株価の構成銘柄から外されるのではないかとの見方が米国株式市場関係者の間で広がっている。インテルの凋落は半導体業界の再編につながるかもしれない。
変化の波への対応が遅れる
1970代後半から50年近く、インテルは中央演算処理装置(CPU)市場において一人勝ちの状態であった。ところが、2007年にアップルが開発したスマートフォンが市場に投入されると、スマートフォンの人気が急速に広がった。その結果、パソコン市場は縮小され、半導体の主戦場はパソコン市場からスマートフォン市場へとシフトした。しかし、インテルは「パソコン時代の絶対王者」であったため、スマートフォンへの対応が遅れ、クアルコムにスマートフォン半導体の先を越されることになる。クアルコム以外にもARM、 エヌビディア、AMDを筆頭にサムスン電子やTSMCも成長し、インテルの市場における影響力は減少することになる。
パソコンからモバイルに半導体市場がシフトしたように、最近、半導体市場に「AIブーム」が巻き起こっている。ところが、インテルは今回も対応の遅れが見られ、エヌビディアが半導体業界を牽引している。
(つづく)
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