2024年11月23日( 土 )

勢いづく福岡の東部臨海エリア(1)

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西?南?それとも東? 都市発展の方向は──

 明確なエビデンスやデータがあるわけではなく、真偽のほどは定かではないが、「都市は西に向かって発展する」──という説があるらしい。たとえば東京。かつての江戸幕府が定めた江戸の範囲である“朱引”は、東京湾に面した現在の千代田区、中央区、港区、文京区、台東区、墨田区、江東区、新宿区、豊島区、荒川区、渋谷区などで、23区外はおろか、23区内すらすべてが江戸には含まれていなかった。それが、明治期以降になって江戸の境界が緩和されると、東京都として都市の範囲が拡大。隣県・神奈川県の横浜や川崎なども含めて、江戸から見て主に西の方向に向けて都市部が広がっていった。関西においても、京都に対する大阪、さらには神戸などを見れば、京都を起点として都市が西側に拡大していったと見えなくもない。もちろん、東側が海に面しているなどの地理的な要因によって西側に拡張せざるを得ない場合もあるだろうが、都市が西に向かって発展していくという説には、一定の説得力がありそうだ。

 さて、ここ福岡においては、どうだろうか──。福岡県において最初に政令市となったのは北九州市であり、福岡市が政令市となったのは北九州市から遅れること9年後。北九州市を起点とすると福岡市は西に位置しており、都市は西に向かって発展するという説は、広域的には当てはめられなくはない。しかし、こと福岡都市圏に関しては、まずは南に向かって発展していったという見方を支持したい。福岡都市圏における2本の重要な鉄道路線―JR鹿児島本線と西鉄天神大牟田線は、いずれも福岡市中心部から見て南側方向(正確には南東)に向かって延びている。その結果、鉄道沿線に位置する南側の春日市、大野城市、太宰府市、筑紫野市などで都市化が進行。次いで、福岡市地下鉄とその先のJR筑肥線の沿線にあたる、西側の福岡市西区や糸島市の東部エリア(旧・前原市)などが発展していった。

 こうして福岡都市圏が南に、そして西に拡大していくなかで、やや出遅れている感があったのが、東側エリアだ。福岡市から東側に向かっては、JR鹿児島本線のほか、以前は西鉄宮地岳線(現・貝塚線)も延びていたが、沿線の発展具合は南や西に比べると主にベッドタウンとしての住宅地がメイン。人口の多寡はもちろん都市の発展具合の重要なファクターではあるものの、単に寝に帰るだけの場所であれば実に味気ないものだ。それが近年では、都市圏東部でも主に鉄道沿線などで新たな魅力ある開発が進行。都市圏南部や西部にひけをとらないまちづくりが進んでいる。

 そこで今回は福岡都市圏の東部―とくに臨海部の東区香椎・和白、新宮町、古賀市、福津市にスポットを当て、それぞれのエリアの開発動向などを追ってみよう。

(つづく)

【坂田憲治】

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