城ガールが巡る日本の名城~浅井氏終焉の地・小谷城(3・中)
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2人目のガイドおじさんとの出会い
今度こそ番所跡に到着。山頂についたかのような達成感を味わっていると、赤いベストを着たおじさんに「お疲れさまー」と声をかけられる。駅で会った方とは別のおじさんだ。
「下から登ってきたんですが、もう体力が限界で・・」と伝えると朗らかに笑われる。「少し休んでいっていいですか?」と聞くと、「もちろん。休んでください。でも、せっかくここまで頑張って登ってきたのだから、本丸まで頑張ろう」と励ましてくれる。切り株に座り一休み。すると、別の登城者グループへの説明を終えたおじさんが隣の切り株へとやってきた。
おじさんは近江の歴史について語り始める。お市の方、小谷城の落城、賤ヶ岳の合戦・・。途中私が質問すると、「それはね」と丁寧に説明をくれた。歴史が好きで、ずっと歴史に触れ続けていたその半生を聞く。「貴女はまだ若い。これからたくさん勉強しなきゃね」という言葉は、すっと私の心に入り、じんわりと沁みた。おじさんの歴史話で、次第に登る気力が沸く。そして何より、おじさんが歴史が好きなように、私はお城が好きなのだ。疲れのあまり、大事なことを忘れかけていた。お礼を言い、「私、本丸まで頑張ります!」と宣言する。
別れ際、こっそり熊が怖くて鈴を買ったことを伝えると、「熊?本当にでたのかねー。でも鈴があるなら大丈夫」と笑顔で返される。私のなかで、熊除け鈴の株が上がった。
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物騒な遺構
番所跡から本丸を目指し進む。この辺りから、景色に変化が訪れた。木との距離が近く、一本一本がとても大きい。各所に置かれた解説図と照らし合わせながら進んでいく。
この「首据石」は、小谷城初代城主である浅井亮政が、敵側への内通者であった家臣・今井秀信の首を晒した場所と伝えられている。石の上は平らになっており、率直な感想として“非常に置きやすそう”と思った。ちなみに、小谷城には「刀洗池」もある。
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城内での再会
大広間跡へ向かうと、赤いベストを着たおじさんの姿が。駅で会ったガイドのおじさんだった。解説をしてくれるとのことなので、後ろについていく。
大広間の中央に移動し、一つひとつ解説を受ける。転がっている石には、山の石と、建物の土台となった川の石があること。よく見てみると、川の石は角が丸く、表面も滑らかで美しい。
今は乱雑に置かれている土台の石たちは、かつてはきれいに並べられていたという。しかし、ある時訪れてみると、石が辺りに転がりバラバラに乱されていた。その犯人は『イノシシ』。石の下にいるミミズを食べるために掘り起こしてしまったらしい。「ご飯のためなら仕方ないね」と思わず笑ってしまう。本丸跡へ移動し、その一番奥へと案内される。下を見ると崖、そのまま目線を上に動かしていくと、少し先に大きく盛り上がった場所(中丸跡)が見える。
この崖下は「大堀切」と呼ばれ、本丸と中丸跡との尾根を大きく削る形をしており、本丸を区切ることで敵の侵入を防ぐなど『城の防御』としての役割を持つ。削った断面には所々土が盛られ、容易に登れなくする工夫が施されている。
その後もおじさんの解説は続き、私は夢中になって耳を傾けていた。大堀切を抜けた先がおじさんとの別れの場所になった。解説を話すときのおじさんはとても楽しげで、その瞳は生き生きとしている。自身を「城きちがい」と称したその笑顔は眩しかった。
おじさんから貰ったパワーで、先に進む決心をする。残りの体力を考慮してもらいつつ、行き帰りのルートを決めてもらう。見所や注意点を教わり、おじさんと別れた。“さよならおじさん”。※クリックで拡大
(つづく)
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