2024年12月22日( 日 )

『脊振の自然に魅せられて』「ぶらぶらあぶらクラブの子どもたちと脊振山歩き」(後)

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自然観察
自然観察

 時間も経ち、崩落箇所は登山者に踏み固められ、注意すれば歩けるようになっていた。30度ほどの崩落斜面を縦列し、慎重に歩いた。

 崩落箇所を渡り終えた筆者は、木道から参加者や子どもたちを見守った。自然観察で歩き慣れた子どもたちは無難に渡り終えた。大人たちも心配いらなかった。

 神埼方面から基地へと続くアスファルトの道路を横切ると気象レーダーの専用道路に入る。ゲートは施錠されているが、登山者はゲートの隙間から歩けるようになっている。

 舗装された専用道路は大型バスが通行可能な道路幅で、両端には森林地帯が広がっている。春にはミツバツツジがピンクの花を咲かせ、初夏は白い花のムシカリ、ヤブデマリ、タンナサワフタギなどが山を彩り、自然観察には最高の場所である。

 気象レーダー方面に10分も歩くと下りの左右に緩いカーブとなる。ここから正面に福岡管区気象台の純白のレーダーが見える。ここは展望もよく、天気が良いと有明海に浮かんだ雲仙岳が大きくそびえ立って見える。

 子どもたちは坂道で遊んでいた。ある子どもが長さ1mくらいのシマヘビの抜け殻を見つけた。カナヘビを追いかける子どももいた。小さな小枝で輪ゴムを使い、ゴム銃をつくった子もいた。中学1年から小学1年の子どもたちだと聞いていたが、どの子も素直な子どもたちだ。

 気象レーダーの展望台でしばらく休憩し、油山から福岡市街地、博多湾の展望を楽しんだ。正面に、三角形の濃い緑色をした金山(968m)が望め、その奥に羽金山(900m)の電波塔も見えていた。展望台で集合写真を撮ったところ、参加者一同、笑顔でカメラに収まっていた。

 15分ほどの休憩を終え、脊振では珍しい砂地で開けた最終目的地である日本庭園(筆者が名付けた)へ向かった。ゆっくり歩いて15分ほどである。

 灌木地帯の登山道を「小鳥のさえずりの道」と呼ぶ人もいる。春はミツバツツジのトンネルができて素敵な山道である。林の右手上方に、さきほどまで休憩していた気象レーダーがある。縦走路は佐賀県が管理し、春と秋の年2回、草刈りが行われている。秋の草刈り直後で笹を刈られた縦走路はスッキリしていた。

 10分歩いて灌木地帯を抜けると砂地の広い場所が開けてくる。公園ほどの広さの場所に松やヤマヤナギ、ヤマツツジの低木がすり鉢状の地に生えている。ここも素晴らしく見晴らしが良い。登山者たちの休憩場所でもあるこの場所を日本庭園と筆者が名付けたのだ。

 遠目に脊振山の航空レーダーが見え、間近には気象レーダーが見える。青空だと白い2つのドームが輝いているようで美しい。航空レーダーを「メロンパン」、気象レーダーを「サッカーボール」と若い登山者たちが呼んでいる。再び、有明海に広がる筑後川を目にした。

 予定通り、ここで昼食をとることにした。家族と食事をする子どももいれば、子どもたちだけで食事をするグループもいた。食事を終えた子どもたちは、砂地の斜面を滑って遊んでいた。

 30分ほどの休憩も終え、集合場所の駐車場へ戻ることにした。ありがたいことに雲は厚いがすぐに雨が降るような感じではなかった。

自然観察
自然観察

 帰り道、女性会員Sが2mほどあるヘビの抜け殻を見つけた。子どもが見つけたものも入れると3匹目である。ヘビは秋に脱皮するのだろうか。

 20分歩いてキャンプ場の東屋に着いた。しばらく休んだ後、解散することにした。歩き疲れた子どももいたが、何とか天気に恵まれ良いジョイント山歩きとなった。脊振山麓の五ケ山豆腐に寄り、ソフトクリームとホットコーヒーで一息ついていると、子どもたちの家族も立ち寄っていた。

 孫の年齢ほどの子どもたちに元気をもらった一日だった。「春に、また一緒に脊振を歩きましょう」と伝えた。

(了)

脊振の自然を愛する会
代表 池田友行

(中)

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