2024年10月28日( 月 )

2025年は危機の年:ノストラダムスは第3次世界大戦の勃発を予言(後)

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国際未来科学研究所
代表 浜田和幸

 実は、フィリピン沖合の天然ガスや石油などの資源には中国も日本も前々から大きな関心を寄せてきました。米国政府はこうした資源を中国や日本の資金と技術で開発し、米国のエネルギー企業の利権に直結するように働きかけているのです。

 先にワシントンで開催された日米比3カ国首脳の隠された協議事項は西フィリピン海の資源開発計画でした。フィリピンでは前政権の下で、中国とのインフラ整備事業を推進しようとしていましたが、マルコス・ジュニア新大統領の発足を機に、中国との関係を見直し、米国と日本の経済、技術力を通じて資源開発を強化する方向に舵を切ったのです。

 しかし、これはあくまで表向きの「中国警戒論」に沿った動きに過ぎません。実際には、イエレン財務長官が明言したように、中国と米国で世界の資源や市場を2分割できるとの思惑が隠されているのです。そのため、米国はマルコス・ジュニア大統領の弱みを突こうとしています。何かといえば、20年以上にわたり独裁者として君臨してきたフェルディナンド・マルコス元大統領の隠し財産を「魚のえさ」にして息子のマルコス・ジュニアを釣りあげようとしているのです。

フィリピンの海 イメージ    ちなみに、こうした極秘資産について、マルコス・ジュニア大統領は内外のメディアから質問を受けることがたびたびありましたが、「自分は一切関知していません」と繰り返すのみ。もちろん、そんな話を信用する国民はいません。そこで、マルコス・ジュニアが打ち出したのが、「自分が大統領になれば、そうした隠し資産を回収して、国民に還元したい。父の代に国民に与えた苦しみの弁償に充てたい」と訴えたのです。多くの国民は依然として貧しい生活を余儀なくされており、そうしたマルコス・ジュニアが掲げた弁償金の公約に心を動かされた有権者も多くいたに違いありません。

 残念ながら、国民への弁償金は口約束に終わったままです。いずれにせよ、政治の世界への進出を目指していたため、選挙資金としても父親の隠し財産を喉から手が出るほど欲しがったのがマルコス・ジュニアでした。そうしたフィリピンの国内政治情勢に着目し、米国政府はマルコス元大統領の隠し資産の回収に向けて水面下で動きを加速させてきたのです。そして、マルコス・ジュニアに対して、父親の隠し財産を提供するようになりました。

 その際の条件が中国との関係をご破算にし、米国との関係を最優先させることでした。もともと汚職や腐敗が蔓延していたフィリピンです。米国経由で返還された父親の隠し財産を活用し、政治家として地盤を固めることに成功したのがマルコス・ジュニア。副大統領選や大統領選挙で勝利した際にも、こうして米国経由で返還された父親の代からの隠し財産が大きくモノを言ったことは明白です。

 その意味では、米国はマルコス元大統領の資産を最大限に活用し、その息子を思うがまま操ることができているわけです。こうして米国はフィリピンの島々を軍事拠点化する動きを加速させています。中国が南シナ海の岩礁を埋めて、島を造成し、それらを軍事基地化していると非難していますが、米国は世界80以上の国に750を超える米軍基地を確保しているのです。そのうち、313の米軍基地は東アジアに集中しており、台湾に近いフィリピンは重要な拠点に他なりません。

 南シナ海に眠る1兆ドルを下らないと目される海洋資源を開発するためには、こうした米軍基地の後ろ盾が欠かせません。なかでも西フィリピン海に存在する海底油田は1,300億バレルと見積もられており、サウジアラビアに次ぐ埋蔵量です。今後、こうしたフィリピン海域に眠る資源をめぐる日米中の争奪戦は激しさを増すばかりと思われます。第3次世界大戦に関するノストラダムスの予言が実現しないことを願うばかりです。今こそ、日本は独自の平和外交を推進すべきでしょう。

(了)

浜田和幸(はまだ・かずゆき)
    国際未来科学研究所主宰。国際政治経済学者。東京外国語大学中国科卒。米ジョージ・ワシントン大学政治学博士。新日本製鐵、米戦略国際問題研究所、米議会調査局などを経て、現職。2010年7月、参議院議員選挙・鳥取選挙区で初当選をはたした。11年6月、自民党を離党し無所属で総務大臣政務官に就任し、震災復興に尽力。外務大臣政務官、東日本大震災復興対策本部員も務めた。近著に『イーロン・マスク 次の標的「IoBビジネス」とは何か』、『世界のトップを操る"ディープレディ"たち!』。

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